2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02620
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
内田 聖二 奈良大学, 教養部, 教授 (00108416)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関連性理論 / 一致現象 / ダイクシス / テクスト現象 / メタファー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は引き続きこれまでの研究成果を本研究の趣旨に沿って整理するとともに、同時並行的にpaperback からの用例の収集に努めた。具体的な研究としては、英語語法文法学会第24回大会(奈良大学)でシンポジウム「Spoken EnglishとWritten Englishをめぐって」を企画し、司会、講師を務めた。そこでは、「ダイクシス、あるいは時間・場所・人称の一致について」のタイトルで、従来は時制のような一致現象と同一にみなされてこなかった場所の副詞、人称についても時制の一致と同じように扱えることを論じた。すなわち、話しことばでは発話時、場所、それに話し手、聞き手が明確に設定されるが、書きことば、とりわけ、フィクションを典型とするテクストでは、聞き手は読み手という形をとり、そこに書き手、語り手、登場人物が絡みあうことから今までの伝統的な文法の観点では説明できないことを例証し、認知語用論的な視点からみれば、こういったダイクシス現象を統一的に処理できることを明らかにした。 また、昨年度語用論学会のメタファー研究会で行った、関連性理論からみたメタファー現象についてのlectureを基にして紀要論文を執筆し、そのなかで、メタファーをより一般的に説明する過程で、本研究と関連する言語現象にも言及した。 一方、シリーズ「英文法を解き明かす」(全10巻)(研究社)の編者として『話しことばの構造』(第9巻)『規範からの解放』(第4巻)『文をつなぐ』(第3巻)『名詞と代名詞』(第1巻)の出版に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペーパーバックからの資料収集は、その性質上、スピードアップすることは難しいが、データの整理を含め、順調に進んでいる。研究もこれまでの研究成果を反映させながら口頭発表、紀要論文執筆と確実に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度に当たるが、引き続きペーパーバックからの資料収集を行う。また、11月に開催予定の日本英語学会でシンポジウムの講師に招聘されている。そのシンポジウムは、「逸脱」をテーマにしたもので、まさに本研究の趣旨に合致しており、いわゆる文法の逸脱現象を認知語用論の観点から論じる予定である。 また、関連の学会にも出席し、最新の情報、資料の収集に努める。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用額に合わせて使用する。
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[Book] 文をつなぐ2016
Author(s)
内田聖二、八木克正、安井泉(共編)大竹芳夫(著)
Total Pages
xiii+227
Publisher
研究社
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