2017 Fiscal Year Research-status Report
中東地域の日本語教師と学習者の言語意識の把握と相互理解を目指した実践モデルの構築
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15K02628
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
市嶋 典子 秋田大学, 国際交流センター, 准教授 (90530585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 未季 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50734919)
細川 英雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 名誉教授 (80103604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中東地域 / 日本語教育 / 言語意識 / アイデンティティ / 言語政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,中東地域の日本語教育環境の実態を明らかにした上で,日本語教育実践モデルを構築することを目的とする。具体的には,1)中東地域の教育制度・教育事情を調査する。2)日本語教師,日本語学習者たちへのライフストーリーインタビュー調査により,社会的・政治的状況の変化の中で,彼等はどのように日本語と関わり,日本語の学びをいかに意味付けてきたかを明らかにする。3)授業観察から,実践内容や教育観が地域社会や組織や制度,学習者の学びとどのような関係を持っているのかを考察する。4)上記を総合的に考察し,平和構築につながる相互理解を目指した日本語教育実践モデルを構築する。 本研究では、主に、シリア・ヨルダンで学ぶ日本語学習者に限定して調査をしてきた。しかし、研究を進めていく中で、難民や移民として海外に移住する日本語学習者が非常に多いこと、移動過程においても様々な困難を克服しながら日本語学習環境を維持し、日本語を自身のアイデンティティの一部として捉える日本語学習者が存在することが明らかになった。これらのことから,上記の1)から4)の調査に加え、欧州に難民、移民として移住した中東出身者は、移動に伴う言語環境の変化、社会的・政治的状況により、言語意識やアイデンティティにどのような影響が与えられ、それらはいかに形成され、変容してきたのかを問うた。分析の結果、これらの日本語学習者の多くは、自ら日本語学習環境を維持し、日本語を平和の象徴として、また、自身の将来に寄与するものとて意味づけていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に、中東地域の日本語学習者および日本語教師へのインタビュー調査は順調に進んでいる。これまでのインタビュー調査や文献調査等を踏まえた上で、日本語教育実践モデルも構築し、実践研究として実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もインタビュー調査を継続していく予定だが、中東地域の情勢によっては、インタビューの継続が困難なことも想定される。その場合、新たに開拓した移民、難民として海外に移住した中東出身者へのインタビュー調査を重点的に行うことも視野に入れている。また、実践モデルの精緻化を目指し、インタビュー調査や文献調査を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
中東地域の治安悪化のため、当初予定していたエジプトおよびヨルダンでの調査が実行できず、延期されたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)