2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a practice model aiming to understand linguistic perception of Japanese language teachers and learners in Middle East, and build their mutual understanding
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15K02628
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
市嶋 典子 秋田大学, 教育推進総合センター, 准教授 (90530585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 未季 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (50734919)
細川 英雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 名誉教授 (80103604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語意識 / 難民 / 移民 / 市民性 / アイデンティティ / 平和構築 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中東地域の日本語教育環境の実態を明らかにした上で,日本語教育実践モデルを構築することを目的とした。具体的には,1)シリアとシリアの政変の影響を受けたヨルダンの日本語教育事情を調査した。2)日本語教師,日本語学習者たちへのインタビュー調査により,社会的・政治的状況の変化の中で,彼/彼女らはどのように日本語と関わり,日本語の学びをいかに意味付けてきたかを明らかにした。3)授業観察から,実践内容や教育観が地域社会や組織や制度,学習者の学びとどのような関係を持っているのかを考察した。4)上記を総合的に考察し,平和構築につながる相互理解を目指した日本語教育実践モデルの試案を構築した。 インタビュー調査をとおして、シリア内戦が泥沼化し,命の危機にさらされている中,日本語を学び続ける「忘却された日本語学習者」の存在を明らかにした。また,シリアを離れ,難民として外国で生活しながら,日本語を学び続ける学習者の存在も明らかにした。これらシリア出身の日本語学習者へのインタビューからは,彼/彼女らが,日本語を学ぶことにより,内戦という困難な現実を一時的に忘れ,精神状態を正常に保てていること,日本語を未来への希望,生きがい,自身のアイデンティティの一部としてとらえていることが明らかになった。また,内戦勃発以降,多くのシリア出身者が外国に難民や移民として渡っていること,その中には日本語学習者も含まれ,移住後も日本語学習を継続(または継続を希望)していること,母語であるアラビア語,英語やヨーロッパの諸言語とは異なる意味で日本語に価値を置き,そのことにアイデンティティを見出していること、シリア国内や移住先で、新たな市民性を生成していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)