2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02630
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野 正樹 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10302340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
牧原 功 群馬大学, 国際教育・研究センター, 准教授 (20332562)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | やさしい日本語 / 外延的意味 / 内包的意味 / ストラテジー / 配慮表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、言い換え研究全般にわたっての先行研究の整理を行い、本研究の位置づけを図った。言い換え研究は、従来日本語学や文章論の枠組みでの、「即ち」「要するに」などの言い換えマーカーを中心とした研究、会話分析でのパラフレーズ研究、自動翻訳のための研究が見られたが、本研究では、話者と聴者の関係を重視した言い換え研究を積極的に進めた。 本研究が考える方向性は2つあり、1つは、高度な日本語レベルで話者と聴者のコミュニケーション摩擦を避ける方略のもの、もう1つは、非母語話者を含めた情報弱者を対象としたわかりやすい日本語である。前者は発話機能に基づき高度な言い換え、これを配慮表現の一部としてとらえている。今年度は「それはそうだけど」のようなトートロジーにも注目し、言い換え研究からの考え方を示した。後者は、情報弱者のための言い換え表現についても、どのような記述が効果的かを探り、非母語話者間でのコミュニケーションの際にどのように伝えるかの調査を開始した 本年度は、共同研究者を交え、2回の研究打ち合わせを行い、研究成果は「言い換えマーカーの記述試案―言い換え行為の体系的理解を目指して―」小野 正樹『日本語コミュニケーション研究論集』/(4)/pp.3-10, 2015-03と言い換え表現と配慮表現から見たトートロジー表現について 小野 正樹 『日本語コミュニケーション研究論集』/(5)/pp.19-30, 2016-03にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内共同研究者、および国内外の研究協力者と十分に連絡を取りながら、研究発表を続けられている。2015年度は9月に、研究打ち合わせを、1月30日には進捗状況の発表を兼ねた研究集会を開催した。また、研究成果は『日本語コミュニケーション論集』第4号として発行もできた。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語学習者のレベルに注目して、より細かな調査を続けていきたい。特に話者視点の言い換えだけではなく、どのような言い換えが理解しやすいかという聴者の視点について研究を深めていきたい。また、調査の段階で同一表現の繰り返し(トートロージー表現)も自然発話には多く見られ、この果たす役割を多言語との対照から分析を進める。 国内外の学会、研究会での発表を予定しており、2016年6月4日-5日開催のTHE NINTH INTERNATIONAL CONFERENCE ON PRACTICAL LINGUISTICS OF JAPANESE(於 サンフランシスコ州立大学)と、2016年7月7日-9日 第20回AJEヨーロッパ日本語教育シンポジウム(於 カフォスカリ大学)での発表が採択されている。
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Causes of Carryover |
予定していた海外研究者の招聘が不可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に、イタリアで行われる学会の際に研究打ち合わせを行う予定であり、そのための旅費としての残額を執行する。
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