2015 Fiscal Year Research-status Report
漢字圏学習者のための、日本語「漢字音」学習教材の開発
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15K02632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前原 かおる 東京大学, 学内共同利用施設等, 講師 (10345267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 真理子 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30334254)
菊地 康人 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40153069)
副島 昭夫 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20236144) [Withdrawn]
藤田 朋世 東京大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00728016)
河内 彩香 東京大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90728015) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 漢字教育 / 漢字圏学習者 / 漢字音 / 漢語の読み / 音交替 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(27年度)は、漢字圏学習者の「漢語の読み(音声・表記)」をめぐる実態を解明するとともに、そうした困難点を持つ学習者に対する教授内容および方法について、具体的に検討を進めた。 特に中心的に行ったのは、①漢字圏学習者の漢字学習過程の観察と、②シラバス策定である。①については、学習者の許諾を得て行った学習過程の録画記録を観察データとし、漢語や漢字の読みをめぐっての彼らの読みの誤り、音交替規則の適用上の誤り等を明らかにした。また、漢語の読みに関する協働学習の過程の「学習行動」や「学習者間の発話内容」を質的に観察し、その教育方法への検討につなげた。これらについては、日本語教育関係の学会、研究会で発表した。 ②については、本所属機関での漢字圏向け漢字クラス(13週の通常コース、および、3日間のスポット講座)の教育改善と並行して進めた。上記①での考察結果もふまえ、漢字圏学習者に対して必要な教授項目、それらの提示順序の検討を進め、学習者の日本語レベルにより「初中級編」と「中上級編」という大別して2系統の枠組みについて見通しが立った。この議論の過程では、学外の日本語教育関係者による授業の参与観察、事後の検討会も行って、より汎用性の高い教材開発となることを目指した。 なお、当初の予定にはなかったが、近年、筆者らの所属機関では、欧米などのいわゆる非漢字圏出身でありながら、高等教育などで中国語の学習歴を持ち、それを経て新たに日本語学習を開始する学習者が増えていることから、こうした新たな学習者層に対する調査も行った。それにより、本研究課題が主たる対象とする漢字圏学習者の特徴が、一層明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日程的な事情で、学外での調査を行うことができなかったが、本所属機関に学外の日本語教育関係者を招いての検討会を実施できたことにより、検討が進んだ。また、当初の予定になかった、漢字学習歴を持つ非漢字圏学習者の調査を行うこととなったが、このことにより、本研究課題の主たる対象者である漢字圏学習者特有の漢字学習(音声・表記)の困難点を、より明確に抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、特に変更はない。 28年度は、学外の日本語教育機関での教材試用、および、その学習過程の観察を含め、進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
1)当初研究分担者であった1名が、ご本人の都合で分担者を外れることとなった。 2)日程的な事情で、学外での調査を行うことができなかったため、予定していた額の旅費を使用せずに終わった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)については、今年度の代表者、分担者を前提に、再配分の計画を行った。 2)28年度は、27年度に所属機関内で開発、試用が進んだ教材を、学外の日本語教育機関で試用してもらうべく、進めていく。
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