2016 Fiscal Year Research-status Report
日本語教員と専門教員によるアカデミック・ライティングの評価:評価基準の策定と検証
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15K02633
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊集院 郁子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (20436661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 准教授 (20450695)
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60114815)
小森 和子 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (60463890)
奥切 恵 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70410199)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 作文評価 / 大学教員 / 専門教員 / 日本語教員 / 初年次教育 / 日本語意見文 / 留学生 / アカデミック・ライティング |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は当初の計画に従い、以下の作業を行った。 1 H27年度に実施した「大学教員による意見文40編の評価」の予備調査結果の分析を進め、日本語教育学会及び第二言語習得研究会でポスター発表を行った。日本語教育学会では、評価者の自由記述をKH Coderで分析し、評価の際の重要項目を抽出したうえで、高得点群・低得点群・分散群に分類した意見文の質的分析を行った。第二言語習得研究会では、評価者の評定結果(5段階評定)をIRTモデルを適用して分析し、評定値の分析手法に関して検討した。 2 予備調査の結果に基づき、本調査の計画を立て、実施した。本調査では、予備調査で評価対象とした40編の意見文のうち19編を残し、さらに評価のバラつきを考慮して11編の意見文を新たに評価対象として抽出した。また、日本語教員と専門教員の評価の異同を分析するため、評価者の条件の絞り込みを行い、調査協力者を募った。調査協力者が一部の大学の教員に偏らないよう日本全国から協力を募ること及び多忙な大学教員の負担を少しでも軽減することを目的に、本調査はウェブ上に調査用のホームページを作成して実施した。 3 本調査データとして人文社会系の大学教員40名分(専門教員18名、日本語教員22名)のデータを得た。 4 分析ツールとして活用するKH Coderについて理解を深めるため、開発者の樋口耕一先生(立命館大学)を招き、早稲田大学においてワークショップを開催した。(2017年2月27日) 次年度は、専門教員のデータ数を日本語教員のデータ数に合わせるべく、評価データの追加収集を行った上で、評定値の分析、評価コメントの分析、意見文の分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査の結果を踏まえ、本調査に発展させることができた。当初、意見文30編の評価作業は負担が大きいため、大学教員の評価協力者を得るのは困難だと考えたが、日本全国から計40名の協力を得ることができ、次年度は分析に時間を使える状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の手順で研究を推進する。 1.不足データの収集(専門教員4名による30編の意見文評価データを収集する。) 2.以下の観点からデータを分析する。①専門教員・日本語教員 各22名の評定値の分析→両者の評定の特徴を探る。②専門教員・日本語教員各22名の評価コメントの分析→両者の評価の観点の異同を探る。③評価が高かった「よい意見文」、評価が低かった「悪い意見文」、評価が分かれた意見文の特徴を、内容面、構成面、言語面から分析する。→分析結果を日本語教育に還元する。 3.上記の量的・質的分析の結果を踏まえ、評価の観点の洗い出し、重要度の重み付けを行い、評価基準の試案を作成する。
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Causes of Carryover |
意見文30編の評定及び評価コメントの記述には相当時間が取られるため、多忙な大学教員の協力を多数得るのは難しいと考えた。そのため、今年度中に全データ収集を終えることは断念し、2年にわたって少しずつデータを取りためることを計画した。次年度もデータ収集を続けるために調査協力者への謝金を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の繰越金は、2017年度実施予定の評価研究協力者への謝金に用いる。
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Research Products
(20 results)