2017 Fiscal Year Research-status Report
多文化就労場面における元留学生の異文化間コンフリクトと影響要因の研究
Project/Area Number |
15K02634
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
加賀美 常美代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40303755)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多文化就労場面 / 異文化間コンフリクト / 葛藤解決方略 / 労働価値観 / 外国人社員への就労意識 / 元留学生 / 日本人社員 / 外国人社員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では外国人社員と一緒に就労している日本人社員を対象に、葛藤解決方略に労働価値観、外国人社員の就労に対する日本人社員の意識、属性がどのように関連するか検討することを目的に質問紙調査を実施した。2017年1月中旬に外国人社員の所属している企業等に勤務する日本人社員を対象に、インターネットによる質問紙調査を実施した。その結果、316名(男性213名、女性103名)の対象者から回答が得られた。年代別には20代60名、30代80名、40代73名、50代73名、60代30名であった。因子分析の結果、日本人社員の『労働価値観』は「自己成長」「社会的評価」「同僚・所属組織への貢献」「ハングリー精神」「社会への貢献」の5因子が抽出された。『外国人社員への就労意識』は、「外国人社員の職場への適応」「外国人社員の能力・特性の活用」「外国人社員の仕事への慣れによる停滞」「外国人社員の会社の発展への貢献」の4因子が抽出された。『葛藤解決方略』の「対決」「協調」「回避」の3要因の尺度の信頼性については、信頼性分析を行った結果、各尺度において高い内的整合性が確認された(α=.865以上)。『労働価値観』と『外国人社員への就労意識』及び属性が『葛藤解決方略』に及ぼす影響を検討するため、重回帰分析を行った。その結果、日本人社員の葛藤解決方略に、労働価値観や日本人社員の外国人社員に対する就労意識が影響していることが認められた。特に、同僚・所属組織への貢献の価値観を重視することが協調方略に、ハングリー精神の価値観を重視することが対決方略に影響を及ぼすことが示された。外国人社員への就労意識については、外国人社員の能力・特性の活用が肯定的に認識され、外国人社員の仕事の慣れによる停滞が批判的に認識される可能性が示唆された。今後は、さらなる詳細な分析および元留学生の量的調査を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる理由は以下のとおりである。 (1)多文化就労場面の日本人社員を対象にしたインターネットによる質問紙調査が実施され、統計的分析が行われた。 (2)それをもとに、2回の学会発表および投稿論文が執筆できた。 (3)元留学生を対象にした質問紙調査が実施でき、100名の対象者から回答が得られた。 (4)それをもとに統計的分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方略は以下のとおりである。 (1)元留学生を対象とした質問紙調査の分析結果について、2回の学会発表を行うため、準備をしている。 (2)元留学生の質問紙調査の結果を論文化するように準備する。 (3)質的研究、量的研究について全体の研究結果を通した総合的考察を行う。 (4)本研究の結果を社会に発信するために書籍化を目指していく。
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Causes of Carryover |
理由) 次年度の使用額が生じた理由は、1)元留学生を対象とした質問紙調査の実施において、対象者が100名に至るまで時間がかかったこと、2)3つの学会で発表したが、そのうちの2つは東京近郊での開催であったため、国内旅費が少なかったことによる。 今年度の使用計画) 今年度は学会が地方で開催されるために、学会発表のための国内旅費に充当する。また、最終年度であるため、研究の総括を行いまとめとして書籍化を計画している。そのため、執筆のための共同研究会の開催に費用に充当する予定である。
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Research Products
(11 results)