2016 Fiscal Year Research-status Report
ピア・レスポンスにおける日本語母語話者と日本語学習者の差異
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15K02645
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
石毛 順子 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (40526050)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ピア・レスポンス / 推敲 / グループディスカッション / 作文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ピア・レスポンスにおいてグループメンバーおよびグループ外のクラスメートの作文を検討する際の、日本語母語話者と日本語学習者の発話と行動の違いを探ることである。平成28年度は、日本語母語話者と日本語学習者のピア・レスポンスの調査、プロトコル作成、質的分析(ピア・レスポンス時における言語特徴の分析)を行った。 日本語母語話者においては4~7月にかけて2~4名のグループのピア・レスポンスを16回分、日本語学習者においては4~7月および9月~12月に2~3名のグループのピア・レスポンスを9回分調査することができた。 日本語母語話者の初回のピア・レスポンスの特徴を分析したところ、教員からの具体性がなく目的の示されない指示は、ピア・レスポンスの進行にいかされないことが見出された。具体的にいうと、「初めてグループが一緒になった人に対しては、素朴な感想・印象を伝える(一緒のグループになるまで、直接感想をいう機会がないため)。」という指示がなされていたが、参加者達は「感想」として何を話してよいかわからず、すぐに次の指示の「不明な点を質問する」ことに移行してピア・レスポンスを行っていた。また、初回においてはどのようにグループ内でピア・レスポンスを進行していくかを検討していることも示された。 日本語母語話者の分析をもとに日本語学習者の初回のピア・レスポンスを分析したところ、具体的でかつ目的が示された指示があれば、同様の方法のピア・レスポンス未経験者であっても、指示にしたがってピア・レスポンスを進行していけることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度計画では平成28年度に行うのは日本語学習者と日本語母語話者のピア・レスポンスの調査、プロトコル作成、質的分析(ピア・レスポンス時における言語行動の特徴の分析とカテゴリー作成、カテゴリー案の発表と再検討)、量的分析(ピア・レスポンス時における言語行動の特徴のカウント)であった。ピア・レスポンスの調査、プロトコル作成、質的分析(ピア・レスポンス時における言語行動の特徴の分析)は開始したが終えてはおらず、また質的分析のうちカテゴリー作成、カテゴリー案の発表と再検討、および量的分析には取り掛かれていないため、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は予定していた日本語母語話者に加え、さらにデータを充実させるため引き続き日本語学習者のピア・レスポンスの調査を行う。平成28年度中に終わらなかったプロトコル作成・質的分析・量的分析に加え、プロトコル作成、質的分析(カテゴリー案の発表と再検討、日本語母語話者と日本語学習者の際の検討)、量的分析(ピア・レスポンス時における言語行動の特徴の頻度比較、日本語母語話者と日本語学習者に共通する特徴の頻度比較)を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度4月採択を目指して申請したが、平成27年度10月採択となり、平成27年度終了の時点で次年度使用額が生じていたため。また、平成28年度に研究の情報収集を目的とした出張を十分行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度秋にプロトコル作成の協力者が2名雇用でき、研究のスピードが速まった。平成29年度も新たにプロトコル作成の協力者を雇用し、研究のスピードアップをはかりたい。また、研究の途中経過の発表の出張ばかりでなく、研究の情報収集のための出張も積極的に行いたい。
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Research Products
(3 results)