2018 Fiscal Year Annual Research Report
The difference between Japanese native speakers and Japanese learners in peer response
Project/Area Number |
15K02645
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
石毛 順子 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (40526050)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ピア・レスポンス / 推敲 / 日本語学習者 / 日本語母語話者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ピア・レスポンス(以下PR)においてグループメンバーおよびグループ外のクラスメートの作文を検討する際の、日本語母語話者(以下母語話者)と日本語学習者(以下学習者)の発話と行動の違いを探ることである。 母語話者の初回のPRの特徴を分析したところ、教員からの意図の示されない指示は、PRの進行にいかされないことが見出された。その結果を踏まえて意図を明示した指示を行ったところ、指示された行動以外にも意図を反映させた行動をすることが示唆された。母語話者の分析をもとに学習者の初回のPRを分析したところ、具体的でかつ意図が示された指示があれば、同様の方法のPR未経験者であっても、PRを進行できることが見出された。 PRの利点として感じているのは、母語話者・学習者共に自分では気づかない点への指摘であった。また、母語話者と学習者のPRにおける困難を調査したところ、学習者のほうがよりPRに困難を感じており、母語話者は自己の既有知識の不足、学習者は自分の言いたいことを伝えることに困難を感じていた。学習者が困難を感じている点の結果を受けて、学習者が相手の作文に対してどのように意見を述べているのか分析したところ、多く見られた発話の機能は「1.情報要求・確認、2.称賛、3.提案、4.同意」であった。さらに、母語話者がPRでどのように意見を述べているのか調査したところ、生活における経験を相手の文の内容に関係付けて意見を述べることや、大学の他の授業で得た知識に基づいて話すことが見られた。 そのほかには、PRを経験していくことで学習者が作文を高く評価する点が変化するか検討した。その結果、初回では「間違いの少なさ」に代表される言語形式が多く言及されていたが、最終回では言及されていなかった。母語話者においては、教員から説明を受けたレポート執筆で用いられる用語を使用していく過程が明らかとなった。
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