2016 Fiscal Year Research-status Report
「やさしい日本語」データベース構築のための基礎的研究
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15K02652
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
前田 理佳子 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (10324732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 「やさしい日本語」の多様化 / 目的・対象別「やさしい日本語」の類型 / 発災後72時間に必要な「やさしい日本語」 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、減災のためのコミュニケーションを支える「やさしい日本語」資源を充実させるべく、データベース整備のための基礎的研究を行った。 前年度の調査の結果、伝達媒体・伝達目的等によって「やさしい日本語」が多様化してきた状況が概観できた。これに即して、既存の「やさしい日本語」資源の網羅的な収集よりも、多様化した「やさしい日本語」を類型化し、各々の典型例を抽出することをめざした。 今年度は、類型化と典型例の抽出及び典型例の特性記述を試みた。対象資料には、2016年4月16日に発生した熊本地震に関わる報道資料、多言語情報等を加えている。また、発災後72時間の情報を中心として、現状では欠落ないしは不足している可能性のある部分に関して、具体的な文案等の提案をめざして、文案作成に着手した。 類型化にあたっては、(1)目的、(2)日本語が母語ではない情報の受け手にとっての難易度、(3)媒体、これら3つに着眼しておおまかに分類することはできたが、典型例と目される例の抽出と特性記述とを並行して行っており、今後も試行錯誤とさらなる精査が必要である。 文案作成にあたっては、同一情報を3名以上で「やさしい日本語」化し、3名以上の文案を照らし合わせて文案を確定していく方針であったが、文案作成作業と3名以上の照合作業、文案の一本化には当初の予想以上に時間を要することが判明した。今後の作業の進捗に向けて、文案策定の手順等を再考したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文案作成においては、72時間対応における既存の「やさしい日本語」の欠落部分を補う具体案を示すべく、作業を継続する。欠落部分・不足部分の特定と文案作成を同時並行しているため、作業の進捗にやや問題が生じている。 前年度・今年度の調査によって、情報の配列に配慮がなされた「やさしい日本語」資源が不足していることが発見できたことを承け、語彙・文法項目の「やさしさ」のみならず、情報構造の「やさしさ」を追求した文案づくりをめざしている。しかし、72時間分の全体を見渡し一貫性をもたせるための作業に予定以上の時間を要している。また、「やさしい日本語」による情報伝達の対象となる人々のうち、日本語が母語ではない人々の日本語能力の設定に一貫性をもたせる必要がある部分について、方針と具体案を示すことをめざしたが、方針の確立に向けての試行錯誤が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
「やさしい日本語」資源の収集、分類を継続するとともに、文案作成・データベース化を急ぐ。 研究協力者との連携を強化し、協力者との作業分担により作業の迅速化を図る。また、「やさしい日本語」資源の収集・整理にあたるアルバイターを増員し、作業効率を上げる。
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Causes of Carryover |
コーパス資源の収集・整理にあたるアルバイターの増員がかなわず、人件費支出が当初予定よりも大幅に少なくなった。 被災地の外国人支援にあたった人々や被災外国人とのインタビューを計画していたが、調整がかなわず実現に至っていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
適任のアルバイターを得て、作業の迅速化を図る。 フィールド・ワーク計画を具体化する。
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