2016 Fiscal Year Research-status Report
日本のマルティリンガリズムの総合的研究:多文化共生につながる教育を求めて
Project/Area Number |
15K02659
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤田ラウンド 幸世 立教大学, 異文化コミュニケーション研究科, 特任准教授 (60383535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAHER JohnC. 国際基督教大学, 教養学部, 特任教授 (50216256)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マルティリンガリズム / 多文化共生 / 社会言語学 / 応用言語学 / 異文化コミュニケーション / バイリンガル教育 / 消滅危機言語の復興 / 母語保持 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究目的に挙げた3つの課題、1.日本国内に現存する言語の多様性の基礎調査、2.日本の危機言語とグローバリゼーションの関わりから多文化共生の課題を考察、3.危機言語について教育現場でも活用が可能なリソース化(冊子、動画記録のドキュメンタリー、ウェブサイト上でのリソース提供)を進めている。研究開始時に研究計画と研究方法を記した通り、上記の課題それぞれにプロジェクト1,2,3として以下に記述する。 プロジェクト1の日本のマルティリンガリズムと言語の多様性における基礎調査は、文献調査を行い、藤田ラウンド(2016)、Maher (2016) 、Fujita-Round & Maher (2017)、Maher(2017)と単・共著として2016年から2017年にかけて出版をする。 プロジェクト2は、藤田ラウンドが2012年から研究協力者たちと共に沖縄県宮古島市での集落と学校を現場とするフィールド調査に基づき、宮古ことばの言語復興につなげるためのアクション・リサーチと子どもたちへのインタビュー調査を進めてきた。2017年3月に社会言語科学会、そして6月に日本国際理解教育学会と8月にヨーロッパ日本研究協会で、まずはそれぞれの学会で発表予定である。 プロジェクト3は、プロジェクト1と2の成果の一部として、宮古島市の教育現場で使うことのできる学習素材やリソースを制作することを目指している。冊子という従来の媒体に加え、映像とウェブサイトとインターネットを活用し、それが日本の周縁と位置づけられがちな宮古島の中でいかに活用でき有用かどうか、今後の可能性を試す検証ともなる。現在は、データとなる素材を集め、最終年となるこの一年でそれを整理、最終的な形に進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で挙げた3つの課題の進行状況は以下である。 プロジェクト1はすでに論文として、2017年7月までにすべて出版が予定されている。 プロジェクト2においては、前科研研究から引き継いだデータも含め、1.学校現場での授業実践、2.宮古島市公立中学校での2クラス分の3年分のデータは取り終えた。今後は分析に取り掛かり、追加調査を小規模で行う予定である。 プロジェクト3は、2016年度に研究代表者は4度(2月、3月、7月、10月)、研究協力者の映像アーティストは2度(3月、7月)、インタビューと撮影のために赴き、現地のキーパーソンや機関と連携を図りながら動画の記録を行うことができた。また、島内の風景や年中行事も映像として収め、計画通り進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、プロジェクト1に関しては、プロジェクト2と3の研究としての記録をまとめ、来年度の社会言語学の国際大会での発表を目指す。学術論文化や出版物としてまとめることも想定している。 プロジェクト2に関しては、データや研究として得られた実践知を教師のためのインサービストレーニングなどのような形で汎用する形を目指す。 プロジェクト3は、1)映像のドキュメンタリー化と2)紙媒体のリソースを考えている。2)に関しては、現在宮古島市の団体と協議中ではあるが、協働という形でことばのリソースとして現地の方々が制作することを支援するという形になる可能性もある。大学や教育機関での宮古島の危機言語とされるみゃーくふつ(宮古口)の実際を伝え、現地での特に子ども期(幼稚園から中学まで)の学習リソースの制作が可能になるよう、この研究の成果を共有したい。
|
Causes of Carryover |
今年度は、本研究のプラットフォームである「多文化共生を再考する」の中のブログの韓国語、中国語(台湾)、スペイン語、英語の多言語化を行った。韓国語においては予想以上の成果が得られたが、中国語とスペイン語に関しては翻訳担当の学生の都合で予想外に遅く進んだため、その分の人件費が残ってしまった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
この予算は、昨年度できなかった中国語、スペイン語、英語の遅れていた部分の多言語化に使う予定である。
|
Remarks |
2のウェブサイトは国際NGOであるリングァパックス・インターナショナルを介して、スペイン・かタルーニャ州の研究助成金に、科研研究費を加えて作成した。
|
Research Products
(14 results)