2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02663
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
谷口 正昭 静岡産業大学, 情報学部, 准教授 (60533213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 ジョイ 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 講師 (80739201)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語教育 / ライティングセンター / アカデミック・ライティング / 日本語教授法 / 留学生 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度(3か年計画の2年目)に実施した研究の概要は、以下の通りである。 1.【国内外のライティングセンターの概観】高等教育機関に設置されているライティングセンターは、主にレポートや論文などの学術的文章の作成支援を行う機関であるが、近年は、いわゆる「アカディミックライティング」だけではなく、インターンシップ、就職活動など、キャリア形成における様々な場面における文章作成についても、文章作成支援を行う機関が増えている。今年度は、昨年度に引き続き、このような状況も踏まえて、留学生を対象とした文章作成指導がどのようなかたちで実施されているかを調査し、それぞれの場面での指導内容をまとめている。 2.【ライティングセンターにおける個別指導調査】ライティングセンターとは、添削による文章指導を行わず、ピアフィードバックの手法に基づき、対話を通して学生の自主的な学びを促す支援機関である。本研究は、「対話」を用いた文章指導の有効性を検証することを目的としており、昨年度に引き続き、ライティングセンターにおける個別指導を観察、記録した。事後のインタビューにおいては、指導員との対話を通じて文章作成能力の向上に結びつくような「気づき」が喚起されたか、などについて質問し、その内容を分析している。留学生の場合は、母国においてすでに何らかのかたちでライティングに関する指導を受けて来日していることが多く、日本のライティングセンターにおける指導スタイルと、かつて受けてきた指導方法との相違が、不安やとまどいを生むこともある。それは、主に構文の的確性や語彙の正確さ、文法の正しさなどを修正する目的でライティングセンターを訪れる学生が多いことに起因しているが、「対話」に基づいた文章作成指導においては、それらの利用者の不安や不満をできるだけ解消する方向で、丁寧に指導を進める必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由) (1)留学生数の減少に伴い、セッションへの参加協力が得られる学生が限られていたこと (2)直近の研究課題(24520589)の研究機関を1年間延長したことにより、初年度に十分な研究時間が確保できなかったこと
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 昨年度に引き続き、国内外のライティングセンターで行われている留学生を対象とした個別文章作成指導を観察、記録し、指導員との対話を分析する。また、事後面接によって、ライティングセンターにおける指導に対し、留学生にどのような意識形成がなされ、どういった文章作成技能を習得しているのかを縦断的に見ていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 留学生数の減少によって調査協力者の確保が困難な状況となったこと、パイロット調査に時間がかかっていること等により、人件費・謝金に関する支出が生じなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(使用計画) パイロット調査に基づいた本調査の実施、シンポジウムの開催等により、人件費、謝金、旅費等の支出が見込まれる。
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