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2017 Fiscal Year Research-status Report

英語による授業(EMI)実践に必要な諸要素の可視化とFDのための体系化

Research Project

Project/Area Number 15K02684
Research InstitutionAichi Prefectural University

Principal Investigator

桑村 昭  愛知県立大学, 入試学生支援センター(国際交流室), 准教授 (80625393)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
KeywordsEMI(英語による専門科目授業) / EMIの構成要素 / ICLHE(高等教育における内容と言語の統合) / CLIL(内容言語統合学習) / ITA(外国人留学生授業助手) / 質問紙調査 / 国際(高等)教育
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、前年度に国内外のEMI(英語による科目授業)実施大学を対象に行った質問紙調査の集計と分析、国内外での中間発表、EMI関係者との意見・情報交換を行った。
まず調査結果の集計・分析は、国内大学・学部等からの回答99件と、2015年ICLHE(高等教育での内容言語統合学習)ブリュッセル大会参加者からの回答25件に対して行った。その結果、まず国内大学では担当教授陣の雇用形態や母語が多様であること、授業科目も日本語での通常授業や語学科目との兼任が大半で、運営面で不安定な実態が垣間見えた。また、ICLHEを通じての欧州調査では、教員の任用面は比較的安定している一方で、教員側の英語運用能力や学術科目の教授法など教育の質保証が焦点となっており、EMI教員任用時に必ずしも質保証の提示を求めない日本との違いが浮き彫りとなった。
中間発表については、まず日本比較教育学会第53回大会で、EMI担当教員の陣容と実践現場の状況についての調査報告を通じて活発な意見交換を行なうと共に、国内外の国際教育関係者20人超の執筆による国内大学EMI実践の実態と課題を論じた専門書(本報告書図書欄参照)の紹介を兼ねて同著筆頭執筆者が設けたラウンドテーブルの場で更に議論を深めた。国外では、欧州国際教育協会(EAIE)年次大会において、前述調査結果の報告として国内EMI担当教員の専門的研修のニーズと実施状況についてポスター発表を行った。大会では、欧州大学学士課程でのEMIプログラム数が直近の8年で50倍規模に急増した(EAIE 2017)との衝撃的な調査報告が発表されるなど最新の知見を得ると共に、登壇者や前年参加のEMIワークショップ講師との研究交流の場も築いた。
課題最終目的のEMI構成要素の抽出・整理作業についても、ITA研究部会や当年度発足の日本CLIL教育学会を通じての分野横断的な情報収集を着実に進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画通り、国内外での中間発表を行い、EMIに必要とされる構成要素の抽出・整理作業を開始する一方、英語圏でのEMI研修プログラムの参与観察、国内及びアジア圏での聞き取り調査については、以下の理由で、次年度に行うこととしたため、この進捗状況の判断となった。
まずアジア圏での聞き取り調査については、当初APAIEシンガポール大会にて在外中間発表を兼ねて実施する予定だったが、当年度にEAIEセビリア大会で在外発表を行うことができたので、次年度に改めて、APAIEを含むアジア圏国際教育学会で成果発表を兼ねた形で実施することにした。幸いにQS-Appleソウル大会での口頭発表が今年度末に決定しているので、その際に聞き取り調査も行ない、次回のAPAIEクアラルンプール大会は追加調査等に充てるという選択肢も考えている。一方、質問紙調査の回答者等EMI関係者に対するフォローアップインタビューは、複数の中間発表や専門書籍(前述)の最終校正のタイミングと重なった関係で次年度に行なうこととした。
また、英語圏でのEMI研修プログラム実施状況調査の一環として、前年度にCLILワークショップを国内で主催した豪州クイーンズランド大学に当地での大学教員対象研修プログラムの短期参与観察を申し入れたが、2週間全期間の受講と合わせての参与観察という条件を提示され、時期と予算が微妙に合わず当年度は断念した。また、初年度に英語非母語話者教員対象TIE(Teaching in English)プログラムの紹介に本学を訪れた米国州立大学から内諾を得ていた当地での参与観察も検討したが、担当者が西海岸の名門私立大学に移ったことと、プログラム自体も当年度中断していた事情もあり断念した。次年度に改めて豪州等英語圏大学研修プログラムの参与観察又は実施状況調査を組み入れることとした。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、質問紙調査回答者等EMI関係者へのフォローアップインタビュー、アジア圏でのEMI実践と英語圏大学でのEMI教員研修の各実施状況に関する聞き取り調査、国内外で開催される国際教育関連学会等での成果発表を行い、最終目的であるEMI実践に必要な構成要素の体系化を進めていく。
まず前半は、北米国際教育者協会(NAFSA)年次大会において、ポスター発表、英語圏大学のITA(留学生TA)及びEMI教員研修プログラムの聞き取り調査、アジア圏大学等のEMI実践の実施状況調査等を進める。また国内の国際学会である日本比較教育学会広島大会では日本におけるEMI実践定着のための条件について成果発表を行ない、国内大学参加者との議論を深める。
後半は、QS-Appleソウル大会でのEMI担当教員の専門的研修についての口頭発表を通じて、大学EMI関係者との間でアジアの視点での議論を進めると共に、EMIの実施状況について聞き取り調査を行う。次年度末にかけては、成果の最終まとめに取り組みつつ、前述の豪州大学の大学教員対象のCLIL研修プログラムの参与観察を再検討する。なお、研究当初から予定していたAPAIE年次大会の参加については、同じアジア開催のQS(前述)で代替可能な要素も多分に含まれているので、オプションと考える。国内大学質問紙調査回答者等へのフォローアップインタビューについては、国内外学会等や個別訪問の機会に必要に応じて適宜実施していく。
最後に、前述専門書の単章ではあるが執筆や改訂作業などで先送りしてきた一部の諸活動が次年度に加わることになるが、幸い期間中に築いた課題領域に関する学術交流を通じての情報網により最終目標のEMI構成要素の抽出と整理を更に進めることで、成果が期待できると思う。

Causes of Carryover

まず、旅費については当初予定していたAPAIE 2018シンガポール大会に加えて、豪州クイーンズランド大学での大学教員対象研修プログラムの参与観察について、学内の教員研究費からの補填も含めて、トータルで執行できないかどうかを検討したが、結果的に両方共断念し仕切り直すこととしたため、次年度への繰越額が生じた。この繰越額については、前述のように、この豪州大学での参与観察を可能性として引き続き残しておくと同時に、研究当初から予定していたAPAIE年次大会の参加については、同じアジア開催のQS-Appleソウル大会との兼ね合いで、必要に応じて臨機応変に予算の執行を考えていきたい。
この他の費用については、関連分野の学術論文の多くをアカデミックジャーナルのプラットフォームを始め学術交流者同士のネットワークの恩恵により引き続きオンラインでPDF版を入手できたことで、特に出費の必要はなく研究課題の文献調査を進めることが出来た。特にEMI実践に関する研究成果はここ数年の間に国内外共に急速に蓄積されているので、最新の知見を滞りなく得る上で大変有難かった。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 英語による専門科目の授業(EMI)担当教員の陣容と実践現場の状況に関する一考察~日本の大学の場合2017

    • Author(s)
      桑村 昭
    • Organizer
      日本比較教育学会第53回大会 於東京大学
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] English-medium instruction and professional development needs in Japan2017

    • Author(s)
      Akira Kuwamura
    • Organizer
      European Association for International Education (EAIE) 於セビリア市(スペイン)
    • Int'l Joint Research
  • [Book] English-Medium Instruction in Japanese Higher Education: Policy, Challenges and Outcomes2017

    • Author(s)
      Annette Bradford, Howard Brown and the authors of individual chapters(Chapter 17 contributed by Akira Kuwamura)
    • Total Pages
      全300頁のうち、第17章 18頁 (265-282頁) を担当
    • Publisher
      英国ブリストル市・Multilingual Matters
    • ISBN
      13: 978-1-78309-894-1 (hbk)

URL: 

Published: 2018-12-17  

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