2016 Fiscal Year Research-status Report
「学校認知英文法」構築のための構文教授法の開発:認知言語学の観点から
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15K02686
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
長 加奈子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70369833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知言語学 / 英語教育 / 構文 / 学校認知英文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、中学校および高等学校の現場で英語を教える教員が、(認知)言語学の理論的な知識を持たなくても活用することが可能な、構文の教授法を開発するための基礎研究を行うことを目的としている。特に本研究では、中学・高等学校の英語の授業で必ず扱う、二重目的語構文、五文型、関係詞節、there構文を対象とし、日本人英語学習者と英語母語話者の違いを「出来事の捉え方の違い」という認知的な観点から体系的に研究し、教授法を開発するための基礎研究を行う。
研究2年目である平成28年度は、平成27年度の研究成果を受けて、二重目的語構文に関する教授法を開発した。特に認知文法のエネルギー伝達モデル(Energy Flow Model)に基づいた教授法の開発を行った。平成28年度は、さらに、五文型と関係詞節に研究対象を広げた。日本語と英語の出来事の捉え方の違いが顕著に表れるのが、文型と関係詞節である。英語の出来事の捉え方を典型的に表している第3文型を中心に、5つの文型をどのように位置づけるかについて分析を行い、二重目的語構文で使用したエネルギー伝達モデル(Energy Flow Model)を用いて、五文型を教授する指導方法を開発した。さらに、関係詞節については、大規模学習者コーパスを用いて、日本語母語話者と英語母語話者の関係詞節の使用パターンについて分析を行った。さらに教授法開発に向けて、第3文型のモデルをベースに、関係詞節構文の図式化を行っている。これらの研究結果を受けて、平成29年度は、さらに関係詞節の図式を精緻化し、学習者に理解しやすい教授法へと改良を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画通り、研究対象である二重目的語構文、関係詞節、五文型に関する研究が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度から継続して、関係詞節の分析と教授法の開発を行う。特に平成28年度に作成した関係詞節の図式化に改良を加え、認知言語学の知見をもたない現場の教員や学習者にわかりやすい教材を開発する予定である。さらに there 構文についても、教授法を開発する予定である。
また、研究最終年度である平成29年度は、これまで研究及び開発を行ってきた、二重目的語構文、五文型、関係詞節構文,there構文についてまとめ、認知言語学に基づく学校英文法の枠組みを作り、学会発表は学術論文等を通して、研究成果を広く一般に公開する。
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Causes of Carryover |
2月、3月に予定していたデータ入力作業において、当初予定していた学生アルバイトが、急に都合がつかなくなり、その分の謝金が未使用額として生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度になってから、既にデータ入力作業は開始しており,未使用額分の作業は早期に完了予定である。
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Research Products
(1 results)