2015 Fiscal Year Research-status Report
「英語を」から「英語で」への学習転換ー日本仕様の新しいCLILモデルの構築
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15K02687
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
楠元 洋子 桜美林大学, 言語学系, 講師 (10749310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAMCIUC MONICA 宮崎国際大学, 国際教養学部, 講師 (70721124)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ネットワーク構築 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、日本の高等教育機関(大学)で注目され始めているCLIL(内容言語統合型学習)の有効性を検証するとともに、日本の英語教育への導入の有用性を検討し、特に批判的思考力の育成を目標として行っている。 2015年度の目的は、①文献調査研究により、CLILの要素とそのアクティビティの整理・分析・考察を行い、②すでにCLILが定着しているヨーロッパや日本に先駆けCLILが実践されているアジア諸国におけるCLILの導入現状と実践例を現地調査することである。 各学会では、数多くの発表に出席し、CLILの有効性や課題などの現状を調査した。また、CLIL専門書の執筆者の基調講演を聞いたり、CLIL教材開発のワークショップにも参加した。学会やワークショップでは、特に人脈つくりに注力した。 そのような調査研究活動によって、スペインのサンホルヘ大学では様々な学部のCLIL授業を見学させていただき、CLIL授業を行っている教員およびCLIL授業の受講生へインタビューをさせていただき、専門知識を学ぶための語学力、多言語環境での異文化理解・コミュニケーション力、批判的思考力、専門知識の習得が、どのような学習過程で獲得されているのか、集中的に考察した。 この事例研究で明らかにされた、CLILにおける学習の構造を解析し、カリキュラムデザインの基本的な構造を明らかにすることに注力した。また、CLILの4Cの一つである「Cognition=思考」に関して、予備研究のコーネル批判的思考テストのデータ分析の結果、日本人学生が苦手とする批判的思考のカテゴリーを特定し、そのカテゴリーの思考力を向上させるアクティビティの開発をし、2016年度のアクティビティの実施とデータ収集の準備を完了することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査では、おおむね予定していたデータを収集できた。 現地調査では、スペインのサンホルヘ大学でのCLIL授業見学など事例研究を行い、スペインでのCLILの有効性と課題を把握することができた。そこから、日本のCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の A1 および A2 の初級レベルの活動にどのように適応させることができるか考察し、アクティビティの開発を行った。 また、ヨーロッパ各国およびアジア諸国のCLIL実践者とのネットワークの構築や、サンホルヘ大学との密接な関係性が構築できたことも、今後の研究を行う上で大変有益な人的関係が構築できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、批判的思考・創造的思考に特化した学会に出席する予定である。効果的な批判的思考力の育成方法および測定方法を考察したい。 また、2016年、2017年度は、2015年度に開発したアクティビティーを実践し、量的データおよび質的データを収集し、その有用性・有効性を考察する予定である。その成果は、学会発表や論文発表という形で、積極的に社会還元する予定である。
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Causes of Carryover |
ヨーロッパの大学視察で授業見学やインタビューの際に、ビデオ撮影をする予定であったが、承諾を得られなかったため、デジタルビデオカメラの購入が不要になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、量的データおよび質的データの収集を行う予定であり、調査協力者(客観的テストの受験をしてもらう)への謝金、および、データ処理のためのリサーチアシスタントを雇用し、人件費として使用したい。
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