2017 Fiscal Year Research-status Report
英語リメディアル教育におけるチャンツの有効性:リズム習得とWTCに焦点をあてて
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15K02689
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
川井 一枝 宮城大学, 基盤教育群, 准教授 (40639043)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語リメディアル教育 / チャンツ / WTC / 動機付け / 発音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リメディアル教育を必要とする大学生を対象にチャンツを用いた指導を行い、発音能力など技能面の変化とWTC(Willingness to Communicate)など情意面の変化について検証し、チャンツのメカニズムやリメディアル教育を対象とする学習者への影響を明らかにすることを目的としている。また英語発音指導に対して教育的示唆を得ることも目的としている。28年度までに、音読(チャンツ)指導やWTC等に関する質問紙調査を2回行った。 29年度は、学会等でチャンツやWTCに関して情報収集を行うと共に、2回の調査結果、また音響分析と人の評価の違いについて分析し、結果を発表した。第1回調査(5週間の音読指導)の音声データ分析対象者は25名、分析対象の課題文は全200文であった。事前事後の評価スコアをt検定で分析したところ、全文・各文ともに有意な差は確認できなかった。変化が特に大きかった5名のスコアに対してウイルコクスン符号付順位検定を行ったところ5%水準で有意な差が確認できた。第2回調査(15週間の音読指導)の音声データ分析対象者は24名、分析対象の課題文は全192文であった。事前事後の評価スコアをt検定で分析したところ、5%水準で有意な差を確認した。また、音響分析ソフトで計測した持続時間と人による事前事後の評価スコアを相関比で検証した結果、発話スピードが上がり持続時間が減少するにつれて評価スコアが高くなるという負の相関傾向を確認した。 質問紙調査の結果は、第1回目の調査結果(28年度に発表)同様、外国語教室不安、国際的志向性、LWTC、L2WTC間において外国語教室不安とL2WTCに負の相関が見られた。また外国語教室不安と音読評価のスコアには負の相関があった。 以上の結果から、練習時間による差や学習における個人差などについてさらに深く分析する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャンツを用いた音読による発音変化に関する調査(2回)の分析、音響分析と人の評価の相違に関する分析、国際的志向性・外国語教室不安・L1WTC/L2WTC質問紙調査の全体的な分析は終わり、順次学会においても発表を行ってきた。しかし、全体的な傾向を明らかにするだけではなく、練習時間による違いを含む「個人差」にも着目し、更に分析を深める必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
リメディアル教育においては一般的に「個人差」が重要なキーワードである。最終年度となる平成30年度は、英語学習に対する動機やWTCといった心理的要因と学習による発音の変化がどのように関連しているのか、質問紙調査の結果との関連性についてより深く分析を深め、リメディアル英語教育の対象となっている学生にチャンツを用いた学習法がどのように機能したのか明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
全体の分析はほぼ終わっているが、練習時間などを含む個人差に焦点をあてた質的な分析がまだ終わっていない。発音の変化と心理的要因の相関に関する分析を更に深め、その成果を発表するため学会旅費として使用する。
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Research Products
(8 results)