2015 Fiscal Year Research-status Report
異文化コミュニケーション能力の育成と評価―CEFRを基盤とする英語教育の展開
Project/Area Number |
15K02691
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
川成 美香 明海大学, 外国語学部, 准教授 (60224804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹島 茂 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (80301464)
岡 秀夫 目白大学, 外国語学部, 教授 (90091389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 異文化コミュニケーション能力 / ICC / ジャパン・スタンダード / CEFR / 複言語・複文化 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクト初年度である平成27年度の中心的目標は、前回の科研研究(基盤(B))で策定したCEFRに準拠したJS:ジャパン・スタンダードの12レベルの「言語能力」参照枠に、「異文化コミュニケーション能力」の参照枠を付与して、包括的な英語コミュニケーション能力一覧表の策定をめざして、国内外で基礎的な調査および検討を行うことにあった。まず国内における文献や資料に基づく調査としては(主として研究代表者)、ECML(ヨーロッパ近代言語センター:オーストリア)のFREPA(Framework of Reference of Pluralistic approaches to Languages and Cultures)や、Council of Europe(ヨーロッパ評議会)の異文化体験記述ツールの「Autobiography of Intercultural Encounters」、フィンランドの職業人の異文化コミュニケーション評価ツールの「CEFcult」などの実践的取組みの資料を入手して、比較調査に着手した。また、国外における訪問調査としては(主として研究分担者)、フィンランドの言語教育政策に深く携わってきたヘルシンキ大学のSeppo Tella氏やPirjo Harjanne氏や、欧州CEFRの策定に関わりICC(Intercultural Communicative Competence)の研究では第一人者である元ダーラム大学のMichael Byram氏を訪問し、欧米におけるICC研究についての最新の情報を得ただけではなく、本研究への研究協力を依頼して、承諾を得ることができた。今後は、この貴重な研究協力体制をいかして、英語教育において日本人の異文化コミュニケーション能力の育成と評価をどのようにしていけばよいか、世界基準であるCEFRを基盤とした本プロジェクトを展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の公私にわたる当初予期していなかった事情が発生したため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた海外の研究者との協力体制をいかして、まずは欧米におけるICCやCEFRに関する指導事例を調査する。その調査結果と、文献・資料調査から得られた知見をもとに、「JS:異文化コミュニケーション能力」の到達指標参照枠の策定に着手する。それと同時に、日本人に必要な「異文化コミュニケーション」を育成する教授方法として、とりわけ、現在ヨーロッパ各国で浸透しつつあるCEFRを基盤とした言語学習方法である、CLIL(内容言語統合型学習)に注目し、その成功例であるフィンランドや、スペイン、イタリアなどでの早期英語教育について実態調査を行う。CLILは、教科科目などの内容とことばを統合した学習方法だからこそ、コミュニケーション能力が自然に身につき、とりわけ「異文化」や「異文化コミュニケーション」のセンスが養われる点で有効である。本プロジェクトが策定をめざす「JS:異文化コミュニケーション能力」参照枠を、CLILによって教育現場で実践していく方法をデザインしていきたい。
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Causes of Carryover |
主たる理由は、研究代表者が当初予定していた海外視察調査および海外学会出席をやむをない事情が発生したために取りやめたことにより、多く計上していた旅費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、取りやめた海外視察調査を次年度に実施するための旅費として使用する。
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Research Products
(5 results)