2017 Fiscal Year Research-status Report
日本語話者用の「中国語語彙学習辞典」作成に向けての研究
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15K02693
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅野 雅樹 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (70514131)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国語教育 / 中国語学習辞書 / 中国語語彙 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に応じて、今年度はまず昨年度から今年度にかけて実施した中級レベルの学習者に対する語の習得度と理解度を測定するアンケート調査の結果を統計処理および解析を行い、その総括を国際漢語教育関係の国際会議で研究報告を行った。本調査の結果に基づき、日本語話者を対象とした学習辞書に見出し語として導入すべき語をさらに選定した。昨年度の行った辞書のミクロ構造における「釈義(語義記述」」に対する考察に続き、「用例」に対する調査考察を行った。中国の対外漢語教育の場で使用されている約10部の学習辞書を対象にその「用例」の形式と内容、機能等について調査をしたうえで、日本語話者の学習者にとって有用性が高い「用例」について探求した。各語の語彙的な特徴や性質に応じた用例の提示、「語義記述の方法」に対応した「用例」の提示について、考察を進めた。また本課題について、次年度中国語教育関係の学会で発表する予定であるが、その準備を進めた。学習辞書の作成に向けて選定した各語の中でとりわけ日本語話者の学習者にとって難解な「日中同形近義語」といわれる語について、「語義記述」、「用例」、「注釈(語彙情報の提示」など辞書のミクロ構造としてのモデルを構築した。各語に対して、それらの執筆作業を進めたが、これらは学習辞書の完成に向けた基礎的な作業であり、長期間継続する必要があるが、随時妥当性と適格性を確認しながら進めた。また本人は本年度、初級中国語のテキストを執筆し、出版に到った。その中の語彙表に本研究の成果を部分的にではあるが、取り入れることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
辞書作成に向けた問題点の考察や理論的な枠組みでの研究はおおむね順調に進んでいる。その一方で、実際に辞書の作成に向けた作業も進めなければならない。ただ、見出し語の選定や実例の収集、査定、また各語に対する語彙情報に関する重要性と必要性の考察など予想以上に難しく、慎重に進める必要があるため、この点については現時点でやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
中国語学習辞書の「用例」について、学会発表を行なった上で、論文の執筆を進める。それと同時に、既存の学習辞書から必要な用例を収集する作業を随時行う。昨年度、国際会議で発表した、中級レベルの学習者の語彙習得と理解度の調査結果をまとめた内容で論文を作成する。また学習辞書の作成に向けた実質的な作業と考察を年間を通じて行う予定をしている。
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Causes of Carryover |
アンケート調査ができていないため人件費が未使用である。、また予定していた学会参加出張を取りやめたため。次年度に主に学会出張分として、使用する計画である。
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Research Products
(2 results)