2015 Fiscal Year Research-status Report
他者への共感力を高める英語教育:学習者の積極的関与を目指して
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15K02707
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
李 洙任 龍谷大学, 経営学部, 教授 (40288634)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 共生教育 / Student Engagement / Real-life communication / 他者に共感する力 / Conflict resolution / アジア地域における英語 / 歴史認識 / 国際競争力 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の日本と韓国の関係は、韓国との国交かつ関係正常化(1965)以来最悪の状態にあると言われている。本研究の目的は、さらなる紛争を避けるために、「共生」を重視し、「他者に共感する力」を高める英語教育を考察することである。具体的に、次の3点の研究目的に取り組みたい。①「Conflict」(衝突)をタブー視せずに、そのメカニズムを理解することで、ステレオタイプ化から生まれる偏見や差別観を軽減することを目的にした英語学習の妥当性を考察する。②韓国の学習者とのInterpersonal Communication Task(個人間コミュニケーション課題)を課すことにより、Student Engagement(学習者の積極的関与)がどのように変化するかを調査する。③エリート養成の競争を煽る英語学習ではなく、「共生」を重視し、「他者に共感する力」を高めるための英語教育の知見を探る。近年の英語教育は競争に勝つためのツールであるかのようで、国際競争力を強めようと躍起になり、他者に対する思いやりという心の余裕がもてなくなっている、と警鐘を鳴らす。欧州評議会は、Common European Framework of Reference for Languages(外国語ガイドライン/CEFR)で「外国語教育は競争ではなく共生(Co-existence)を促すためにある」と強調している(Council of Europe, 2001)。「経済や政治のための英語力」から「世界の市民レベルのコミュニケーションのツールとしての英語」に移行しなくてはいけない。一部のエリートだけが英語を所有すべきではない。よって、本研究では、英語を通しての「共生」を重視しながら、「他者に共感する力」を強める英語教育という斬新な着想に基づく原理の発展と方法論の可能性を考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1) Honam University, S. Korea、との共同作業により、日韓の学生の意識構造の比較を見るためのアンケートを実施する。アンケート実施後、学生間でe-mails交換を促し、Student Engagement Instrumentを使用し、学生の意識やStudent Engagementでどのような変化が見られたかを検証する。2)”Readings on Diversity Issues: From xenophobia and hate speech to identity, women and privilege in Japan”という表題のe-bookを14名の英語教員と共に作成を開始した。既存の英語教材が取り上げにくいテーマを選出した。例えば、ヘイトスピーチ、多様性を高めるニーズ、従軍慰安婦問題、女性の社会的地位に関しての課題、などを取り上げている。3)科研テーマに関する社会的発信は以下である。
1)李 洙任「日韓の市民交流を絶えさせないためには」、西成区人権コラム(2015年10月号)、2015年10月23日。2)李洙任「日本における韓国・朝鮮籍の人たちの歴史的背景」西成区人権コラム(2015年11月号)2015年11月1日。3)李 洙任「安重根 獄中の遺墨「日韓史考えるきっかけに」」、『京都新聞』 (夕刊)8面、2015年11月16日。4)李 洙任「多文化共生の先駆け期待」、『朝日新聞 (朝刊)大阪28面、2016年1月1日。
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Strategy for Future Research Activity |
1)前期中に、学生にパートナーやグループを設定し、Skype、メールなどのIT技術を駆使し、交流活動を行う。同時にStudent Engagement 尺度のアンケート調査を配布し、学生に活動を記録してもらう。 2)2017年1月 Student Engagement尺度の回収、英語力測定テストとして、以下のトピックを与え、自由作文を課す。Pre-testと同様にReadabilityとESL Composition Profileを測定する。自由作文のテーマは、What did you learn from contacting Korean/Japanese friends? 3)ALAK(韓国応用言語学会)で発表、開発したe-book教材を紹介し、韓国からの参加も促し教材の充実を図りたい。 4)学生に韓国でフィールドワークを体験させ、Student Engagementを高める教育環境を整備する。 5)国内外の学会で研究成果を発表し、論文、研究ノートを日・英で刊行する予定。
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Causes of Carryover |
本研究で使用する英語教材、”Readings on Diversity Issues: From xenophobia and hate speech to identity, women and privilege in Japan”の作成に時間を多く費やしため予定通りの予算執行とならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記英語教材を他国で紹介するために、国内外の学会発表を積極的に行う予定である。 海外出張は学期中に実施できないため、スケジュール設定に苦慮するが、他業務との調整を試み計画を遂行する予定である。
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[Presentation] 国籍って何?2015
Author(s)
李 洙任
Organizer
2015年度常葉大学・学内学会文化講演会
Place of Presentation
常葉大学
Year and Date
2015-10-21
Invited
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