2016 Fiscal Year Research-status Report
他者への共感力を高める英語教育:学習者の積極的関与を目指して
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15K02707
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
李 洙任 龍谷大学, 経営学部, 教授 (40288634)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平和教育 / 共感を得る英語力 / リングアフランカ / 発表能力 / Student engagement |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の日本と韓国の関係は、韓国との国交かつ関係正常化(1965)以来最悪の状態にあると言われている。本研究の目的は、さらなる紛争を避けるために、「共生」を重視し、「他者への共感力」を高める英語教育を考察することである。具体的に、次の3点の研究目的に取り組んだ。①「Conflict」(衝突)をタブー視せずに、そのメカニズムを理解することで、ステレオタイプ化から生まれる偏見や差別観を軽減することを目的にした英語学習の妥当性を考察する。→ Soo im Lee & Lisa Rogers『Culture and Conflict Changing the World for the Better 文化と衝突ー多文化共生のために』松柏社、2014年を使用し、学生(プロジェクト参加者)に紛争のメカニズムを理解させ、具体的な紛争の日韓の事例を整理した。例として従軍慰安婦問題、竹島・独島問題など。②韓国の学習者との Interpersonal Communication Task(個人間コミュニケーション課題)を課すことにより、Student Engagement(学習者の積極的関与)がどのように変化するかを調査する。③エリート養成の競争を煽る英語学習ではなく、「共生」を重視し、「他者に共感する力」を高めるための英語教育の知見を探った。 → International Cultural Exchange、Honam Universityの学生20数名を龍谷大学に招聘し、文化交流を実施した(2016年12月21日)。韓国の学生は、帰化人の王仁(わに、生没年不詳)のライフストーリーを英語で日本人学生の前で演じた。王仁とは、百済から日本に渡来し、千字文と論語を伝えたとされる記紀等に記述される伝承上の人物である。日本人学習者は、日本と韓国の歴史的な関係性への理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年7月30日ー8月2日に韓国ソウルにて、日本、韓国、米国の若者を募り、英語で「東アジア地域の平和と安定」というテーマでワークショップを開催する。英語タイトル:The emergence of modern nations and the desire for peace in Asia 北朝鮮問題で緊迫する東アジアの平和について次世代が互いに語り合い、解決策の可能性を見出す作業に取り組む。媒介言語は英語なので日本人学習者にとって、このような取り組みは初めての場合が多く、グローバル時代における新秩序についてという課題に日本人学習者が真摯に取り組むことを期待する。この結果は、本研究活動の成果として社会発信をする予定である。アジア英語の学習を推奨し、2014年ノーベル平和賞を受賞したMalala Yousafzai、2016総統選で圧勝した台湾初の女性総統、Tsai Ing-wenなどの英語のスピーチを紹介することによってネィティブスピーカーという概念の再定義をしている。また、e-bookにてHate SpeechとComfort Womenについて英語教材を作成した。
Soo im Lee (2016)"What is the Essence of the Comfort Women Issue? Michiko Tomioka & Soo im Lee (2016). Xenophobic Influences In Relation to Hate Speech, In Readings on Diversity Issues: From hate speech to identity and privilege in Japan,Lisa Rogers, et al, (Eds.) LuLu, Inc.,2016,pp.106-114, pp.115-123.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の韓国で開催される英語ワークショップを開催し、その成果を日韓両社会に発信したい。 加えて上記の英語教材を授業で使用し、日本人学習者が、日本が現在直面している問題の本質を英語で解釈し、考察できるよう授業計画を立てる。ワークショップ等の活動を通して、学生にパートナーやグループを設定し、Skype、メールなどの IT 技術を駆使し、交流活動を継続する。同時に Student Engagement 尺度のアンケート調査を配布し、学生に活動を記録してもらう。Student Engagement 尺度の回収、英語力測定テストとして、以下のトピックを与え、自由作文を課す。Pre-test では、Readability と ESL Composition Profileを測定する。自由作文のテーマは、「What did you learn from contacting Korean/Japanese friends?」である。教育関係だけではなく、社会に発信し、「市民による英語」を提言したい。行政ニュースレターに「市民のための英語」を発信したい。ホームページや ebook の刊行によって研究成果の迅速な社会への発信を行う。
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Causes of Carryover |
次年度、上述の通り、2017年7月30日―8月2日に韓国ソウルにおいて、日本、韓国、米国の若者を募り、英語で「東アジア地域の平和と安定」というテーマでワークショップを開催する。英語タイトル:The emergence of modern nations and the desire for peace in Asia 北朝鮮問題で緊迫する東アジアの平和について次世代が互いに語り合い、解決策の可能性を見出す作業に取り組む。媒介言語は英語なので日本人学習者にとって、このような取り組みは初めての場合が多く、グローバル時代における新秩序についてという課題に日本人学習者が真摯に取り組むことを期待する。またこの結果は、本研究活動の成果として社会発信をする予定である。これらの取り組みに費用を当てるため、次年度に繰り越すことにする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ワークショップ、テーマ「東アジア地域の平和と安定」。英語タイトル:The emergence of modern nations and the desire for peace in Asia、2017年7月30日―8月2日に韓国ソウルにて開催予定。参加者の外国旅費の一部に当てる予定である。
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