2015 Fiscal Year Research-status Report
モバイル機器を利用した反転授業とその効果に関する研究
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15K02727
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小張 敬之 青山学院大学, 経済学部, 教授 (00224303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 和典 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00164690)
佐藤 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40402242)
河内山 晶子 明星大学, 教育学部, 教授 (80350990)
児島 宏明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 研究員 (80356980)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反転授業 / モバイル学習 / 自立性 / デジタル教材 / CASEC / OPIc Speaking Test / TOEIC / Active learning |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は反転授業に関する2つの授業実験を実施した。第一は、1年生のWriting and Communication の2クラスの比較授業実験である。Lecture Ready II の教科書を使用して、 実験群は、デジタル教科書と反転授業を実施、統制群は紙の教科書で通常の授業を実施した。 前年度の同じ1年生を対象にした比較授業実験では、反転授業群が139点の上昇、統制群が86点の上昇と、反転授業群のTOEICの伸びが高かった。しかし、平成27年度の比較授業実験では、反転授業群はTOEIC の得点が4月と7月を比較して5点下がり、統制群の方は、約40点の向上が見られた。反転授業群はデジタル教科書を使用しため、使用に慣れていなかったこと、教材の内容が難しく、予習の段階でビデオを見ても授業が理解できずに、学習に対する動機付けが下がった。第二は、3年生の演習クラス(24名)の通年の授業では、全員がiPadを使用して、デジタル教材(Lecture Ready III)を学び、プレゼンテーションと討論中心の授業を行い、モバイルを利用した語彙学習を教材に併用していたために、OPIcの試験で20%の向上、TOEIC (639-727)で88点の向上、CASEC (626-721)で95点の得点が向上した。自律学習におけるアンケートを反転授業群と統制群の間で行ったが、両群に優位差はなかったことが判明した。学習方策に関しては、現在分析中である。演習クラスのように、ある程度の英語力があり、デジタル教材でも学習者にあったものを提供し、適切な使用方法を指導すれば、反転授業を行えば、それなりの効果があることが判明した。アンケート調査によれば、3年生の演習クラスでは、ほとんどの学生が反転授業の方が英語力が向上し、授業も活性化すると回答している。1年生の比較授業実験に関しては、学習者のレベルに合わせた教材使用、かなり負担のかかる過度な課題を出さない等、学習者の自律性を考慮し指導する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の授業実験においては、反転授業群はデジタル教科書を使用したために、教材の難易度も高かったせいか、デジタル教材の指導不足もあり、十分に授業が機能しなかった。前期は何とか授業には参加をして、反転授業に必死についてくる生徒もいたが、後期の授業では脱落していくものもいた。また、かなり予習に授業時間をさかなければ教材の内容が理解できず、学習者への過度の心理的な負担が大きな要因でもあった。統制群の方は、授業で丁寧な説明と解説を紙のテキストを使用しながら授業を行ったので、多少はTOEICの得点が伸びたようである。しかし、前年ほどには、両群とも伸びなかった。これは、教材の選択が大きな原因になっている。また、反転授業群は、デジタル教科書を使用するのは、初めてのこともあり、全員が iPadを持っている訳でもないので、全員がiPadを持参しているゼミのクラスとは違う結果が出た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、3クラスを使用して、比較授業実験を行い、語彙学習用の Quizlet 等、モバイル学習用ソフトの効果的な英語学習方策を探る。すでに、TOEIC の pre-test を3クラスで4月に実施した。また、自律学習や学習方策のアンケートを今学期中に実施し、2グループ間の差を探る。7月の末と年度末に、post-TOEIC 試験を実施して、3グループ間の伸びを測定する。また、モバイルを利用した語彙学習ソフトを利用した授業実験も行う予定である。すでに、2つのグループで実験を4月の後半に開始した。Active learning ならびに反転授業を成功させるための要因を探り、学会でも発表をする予定である。E-Learn 2016, Hawaii Education Conference 等で発表を計画している。演習の授業では、すでに世界観に関する反転授業を行い、その結果を調査進行中である。平成28年度も、継続して、TED TalksやCoursera 等のオンライン教材、携帯端末で人気のある英語学習ソフトを学習させ、それらを利用した英語教育効果を調査をする。また、世界観教育に関する反転授業用オンライン教材を開発する予定である。電子テキストと携帯端末で学習できる語彙学習教材も開発する予定である。
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Causes of Carryover |
計画時の見積もりと相違が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者の余剰金で、今年度の研究に使用する予定 統計ソフトを購入したり、授業実験のための費用として利用する予定である。 国内の学会に旅費使用も考えている。
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