2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02739
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
小山 敏子 大阪大谷大学, 人間社会学部, 教授 (20352974)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スマホ辞書 / 電子辞書 / タブレット辞書 / 検索語彙の定着 / 検索行動 / 辞書指導 / 辞書使用方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題初年度の今年は、研究で得られたデータを1つの国内学会と3つの国際学会で公表し、また、その内容をProceedingsと論文にまとめた。 2015年6月、香港Polytechnic大学で開催されたASIALEXで公開した成果は、辞書指導についてであった。この研究は継続して行っているものであるが、今回は特に、ワークシートをLMSにアップロードするというe-ポートフォリオを設定した。参加者らから得られた意見はこのタスクに好意的であり、また、実践前後で、辞書使用の方略も定着したことがわかった。 2015年8月、米国Harvard大学で開催されたFLEAT6では、スマホ辞書と電子辞書の比較実験の分析結果を公開した。検索語彙の定着率や検索時間などに有意差は見られなかったが、参加者らの辞書に対する考え方として「電子辞書は教具」と捉えていることが判明した。その一方で、スマホ辞書の可能性への言及もあった。このことは、スマホ辞書とタブレット辞書の比較実験(予備実験)でも判明している。この知見は、8月初旬に大阪千里サイエンスセンターで行われたLET全国大会と、8月末にイタリアのPadova大学でのEurocall2015で発表したものである。辞書のインターフェースの違いが、どの程度、学習者への印象を変えるか、また、学習効果に影響を与えるかは、今後ひきつづきデータ収集して検証していく予定である。 なお、Eurocallでの発表はMALL(Mobile Assisted Language Learning)の研究会でのシンポジウムであり、その内容はProceedingsとしてWebサイトにアップされている。また、これまでの辞書指導の研究成果をまとめたものが、Lexicography(ASIALEXの学会誌)に採択され、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載したように、スマホ辞書、タブレット辞書、電子辞書の比較実験データ収集は順調に遂行でき、その研究成果を学会発表や論文誌で公表できている。しかしながら、辞書使用について、中学生対象のデータ収集が今年度は実行できなかった。中学生を対象とした研究については、協力を申し出てくださった中学が遠方のため、データ収集に向かうことが物理的にむずかしかったことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
e-ポートフォリオの形を変えた辞書指導訓練を引き続き行っていく予定である。また、昨年度公開したスマホ辞書とタブレット辞書のPilot dataの内容を追証するため、さらに参加者数を増やして検証していく。同時に、スマホ辞書と電子辞書の比較研究(2015年度学会発表した内容)を論文にまとめて公表予定である。 可能であれば、近隣の中学校の協力を得て、中学生の辞書使用についてもデータ収集を行いたい。
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Causes of Carryover |
2015年度は、本研究課題と類似の研究で勤務校から受けた競争的研究費からの補助があり、成果公開のための学会出張費などは、科研費を使わずにすんだ金額が少なからずあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験参加者への謝金やデータ収集後の入力アルバイトなど、学生への謝金や、データ公開のための学会出張などに支出予定である。
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Research Products
(6 results)