2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of linguistic experience in second language acquisition of syntactic morphemes and formulaic language
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15K02756
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
奥脇 奈津美 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (60363884)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 定型連語 / 第二言語習得 / ライティング / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語使用に広くみられる定型連語(formulaic sequences)は,第二言語使用者にとって習得が難しい項目であるという指摘が多い.スピーキングに関しては、定型連語の使用幅や使用量の増加が流暢性に関わるという研究があるが,ライティングについては十分な研究がなされているとはいえない.そこで,英語圏へ5か月間留学した8名の大学生について,留学前と留学後にデータをとり,言語経験を通して,どの程度定型言語が発達するのかを調査した.研究の目的は,5か月間の言語経験によって,どの程度語彙知識が増えるのか,語彙使用にどのような発達がみられるのか,英語ライティングにおける定型連語使用がどのように発達するのかを明らかにすることである.ライティングの中で実際に使用された定型連語を特定し,その使用頻度と範囲について,第二言語の語彙知識や熟達度の変化と照らし合わせながら分析した.その結果,次のことがわかった.1) 英語圏での5か月間の言語経験を通して、語彙のサイズと深さともに向上した.2) ライティングの流暢性あがった.3)使用されたアカデミック語彙の多様性は変化せず,使用頻度も上がらなかった.4)定型連語の使用頻度も上がらなかった.調査を通して,定型言語の習得には多くの時間と経験を要し,5か月という留学期間ではあまり発達が望めないということがわかった.定型連語に関する知識を十分に活用できるようになるためには,一定レベルの第二言語発達が必要であろうことを示すものではあるが,中長期的に言語経験を豊富に得ることで,定型連語の知識が一定程度増えていくであろうという示唆も得られた.今後の課題として,個々の定型表現について、学習者が学習しやすいものと学習しにくいものとが特定できれば、言語指導への大きな貢献となるであろうことを示した.
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