2015 Fiscal Year Research-status Report
多面的アプローチによる受動文の生成と習得に関する研究
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15K02760
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
松谷 明美 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (60459261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言語習得 / 統語論 / 運用論 / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1期の4月~6月においては、生成の段階で意味・運用の特性が関わる理論的枠組みを作るために、受動文に関する先行研究を分析し、受動文が生成される動機づけとして、運用・意味上の要因が関与することを探った。また、受動文にすることで、能動文と異なり、情緒的・感情的な意味解釈が生じることを検証した。そして第1期の7月~9においては、Patricia HironymousとShant Shahoian (Glendale College・海外共同研究者)の協力のもと、英語の母語話者と日本語の母語話者への調査を実施した。第2期の10月~12月では、それらの実験の結果を比較分析し、英語の受動文の生成にかかわる音韻・運用・意味・統語上の要因を明らかにすることで、生成プロセスの構築を試み、The Conference on Exclamation and Intersubjectivity (ニース・ソフィア・アンティポリス大学, Nice, France)にて ‘Driving Passives with Pragmatic and Semantic Implications’を口頭発表した。第2期の1月~3月においては、発表時のコメントをもとに、生成と解釈のメカニズムに見直しと改良を行った。また、高橋千佳子(連携研究者)は意味・運用(特に認知言語学)の視点から、英語学習者が使用する現在完了受動態について分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、英語と日本語を母語とする大人の被験者に受動文についての調査実験を実施し、母語としての受動文の生成モデルを提示し、学会で口頭発表した。現在そのときのコメントをもとに、生成モデルを改良している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度第1期の4月~7月においては、前年度提案した受動文の生成と解釈のメカニズムをふまえ、子供の母語話者への実験やコーパスを使った調査の結果をもとに、第一言語(母語)としての受動文の習得モデルを考案する。第1期 の8月~12月では、提案した第一言語習得モデルの不備を改善し、修正された母語としての受動文の言語習得モデルを学会にて発表することを試みる。第2期の1月~3月では、学会発表での指摘・意見をもとに、習得モデルを改良し、完成させる。平成29年度第1期の4月~6月では、母語としての受動文の習得モデルをもとに、第二言語(外国語)としての英語を学習する大人の学習者に関する受動文の習得モデルを想定し、そのモデルの妥当性を検証するための実験を組み立て、日本と米国で実施する。第1期の7月~12月にかけて調査実験の結果を分析し、第二言語としての英語の受動文の習得モデルを構築し、学会発表を試みる。第2期の1月~3月においては、学会発表での指摘・意見をもとに、音韻・認知・運用の特性が受動文の習得を促すことを示す第二言語習得モデル完成させる。
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Causes of Carryover |
実験調査の回数がが予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本・米国において子供の母語話者と外国(第二言語)としての英語学習者に対して、受動文の習得プロセスに関する調査実験を実施する予定である。
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