2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-genre study of overlaps and creating collaboration by English and Japanese
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15K02763
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
竹田 らら 東京電機大学, 工学部, 講師 (80740109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 相互行為の英語教育 / 異ジャンル間比較 / 重複発話 / 協調性 / 語用規則 / 明示的指導と暗示的指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親しい大学生同士と初対面同士の自由対話と課題達成談話を対象に、ジャンル・言語・心的距離が重複発話と協調性の関係、また、重複発話が合意形成に与える影響を分析した。そして、日英語の第一言語話者同士を比較し、話し手と聞き手の立場を維持しつつ合意に至る英語話者と、同一表現の反復で協調性を生み出しつつ合意を図る日本語話者の傾向を示した。具体的には、自由対話では、相手の話を軌道に乗せて先に進ませたり、沈黙による間を減らすことに貢献したりする重複発話が、課題達成談話では、1つの話題に対して2つの見方を共存させる重複発話が多く見られた。ただし、日本語話者ペアでは、内容の理解と共有性を確認し合う重複発話が、英語話者ペアでは、相手の意見を把握して協力的な物語作りを助長する重複発話が多く見られた。 この結果をふまえ、重複発話が持つ協調性を考察したところ、自由対話では、現行の話題に乗っかり、沈黙による気まずさを最小化しつつリズムよく会話を展開することで、参与者間の関係をより密なものにして話を円滑に進める、いわば雰囲気を重視した性質を、課題達成談話では、同じ課題を行う参与者として互いの見方を提供することで、参与者間の合意形成を促す、いわば内容を重視した性質を持つことを示した。 その上で、異文化間コミュニケーション能力を育む英語教育において、教員は日本人学習者に何を指導するべきかという観点から、「語用規則」(村田, 2015: 279)を援用し、日本人学習者が英語の重複発話を学ぶ上でどの指導法が可能かを考察した。そして、ジャンルに応じた会話への参与や会話の共同構築法という、本研究で明らかにした結果を念頭に、ジャンル間で異なる語用規則をより明示的に指導へ組み込む必要性と、異文化コミュニケーション能力向上のために、暗示的指導と明示的指導を並行して導入する必要性を、教材作成への一助として提言した。
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