2015 Fiscal Year Research-status Report
ICTを利用した長期的研究としての中高等学校の英語授業改善の試みとその成果の検証
Project/Area Number |
15K02780
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石塚 博規 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50364279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 靖子 旭川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50587384)
中村 香恵子 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (40347753)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | COLT Part A / リアルタイムの授業分析 / 簡易な英語授業分析 / 客観的な授業研究の視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,授業観察法の一つであるCOLT(Communicative Orientation of Language Learning)を,日本の英語授業の実情に合わせて改良・簡略化を行い,その改良版COLTをタブレットPC用授業分析・集計システムアプリケーションとして開発すること,そして,それを小・中高等学校の授業で実用しながら英語の授業改善を図ることで,これまでのような印象論に終始しない客観的な授業研究を進め,それにより授業改善を図ることを目的としている。平成27年度前半においては,授業観察・分析に関する先行研究を文献調査などによりまとめ,Spada and Frohlich(1995)で提案されているCOLT Part Aで12本の授業ビデオをコーディングし,COLT Part Aによる観察・分析法の問題点を明らかにした。ビデオは市販のいわゆるモデル授業とされているもの10本に加えて,北海道地区で行われた中学校・高等学校の2本の授業を用いた。これまで提案されてきた授業分析法には,Flanders SystemやJarvis System, Stirling Project Systemなど,いく通りかあるが,そのコーディング方法はどれも複雑で専門的な知識や技術が必要であるため,教育現場で短時間で使用するには向かないが,これらの授業分析法は,COLTによる授業分析法の課題を明らかにし,本研究の目的の一つであるCOLTの改良に示唆を与えるものであった。平成27年度後半では,COLT Part A を用い,実際に学校で授業観察を行い,分析結果から明らかになる授業の課題と改善点について,授業者とディスカッションを行ない,授業改善の方向性がCOLT分析による授業の定量化でどのように示唆されるか,また,COLTの簡略化はどのような方向で進めるべきかを議論・考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,大学運営に関する業務の負担が予想以上に大きくなったため,当初予定していた,学校訪問による授業観察だけでなく,ビデオを視聴しながら観察を行う方法で,次年度の教室内で使用可能なアプリケーションの開発のための資料収集及び実践的な授業観察・授業研究の試行を中心に行った。代表的な外国語の授業観察・分析法の特徴をまとめるとともに,ビデオや学校での授業をCOLT Part Aにより分析し,COLT分析の課題を明らかにすることができた。研究時間が予定していたほど取れなかったこともあり,論文としてまとめるところまでには至っていないが,次年度に予定しているアプリ開発の具体的な示唆を得ることができた。また,次年度アプリが完成したのちに,効果的に教室内でリアルタイムで利用可能かを探るために,研究協力者に依頼し,その授業を観察しながら,COLT Part Aによる分析を紙ベースで行い,その直後に授業の課題と改善点についてディスカッションを行うという,予定している方法を確認し,シミュレーションを行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては,平成27年度に明らかにしたCOLT Part Aの課題を解決するために,改良版COLTを設計し,タブレットPC用のアプリとして開発する。そして,開発したアプリを用いて小学校・中高等学校で3~5程度の授業を教室においてリアルタイムで分析し,授業者とのディスカッションを行いながらその有用性と課題を再度洗い出し,さらに改良を続けるとともに,授業研究に客観的な視点を導入することで授業改善を行う方法を提案する予定である。これらは,当初予定していた研究計画に基づくもので,ほぼ予定通り進められるものと考えている。国内,あるいは海外でのこれまでの研究成果の発表も予定している。
|
Causes of Carryover |
年度の終わり近くの研究会への出張旅費が予想以下に低額で済んだため,残額が出ている。旅費が確定した時点では,事務的な旅行命令申請期限と物品購入期限が過ぎていたため,そのまま翌年に繰越し,次年度予定されている授業観察のために出張旅費にあてることとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は学校訪問しての授業観察や発表のための研究会や学会出張が多く予定されており,その費用の一部として有意義に使用したいと考えている。
|