2017 Fiscal Year Research-status Report
多肢選択式リスニングテストにおける錯乱肢の魅力度について
Project/Area Number |
15K02790
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
飯村 英樹 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30382831)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多肢選択式テスト / リスニングテスト / 錯乱肢 / 項目分析 / 重回帰分析 / TOEIC |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画3年目の本年度は,学会での口頭発表1件と学会誌に論文投稿2本が主な研究成果である。 1点目は,日本人大学生約200人が受験したTOEIC リスニングセクションのPart 4のデータを用いて,錯乱肢の魅力度を検証した。ステップワイズ法による重回帰分析の結果,能力によって錯乱肢の魅力度が異なることが明らかになった。能力高群及び低群では本文中と同じ記述があり,派生語が含まれていて,限定表現がないことが魅力度の要因となり,能力中群では本文中と同じ記述があり,派生語が含まれていることが受験者を引きつける要因となることが分かった。この研究成果は学会で発表した。 2点目は,日本人大学生約200人が受験したTOEIC リスニングセクションのPart 2のデータを用いて,3択の応答問題における錯乱肢の魅力度を検証した。錯乱肢のもっともらしさを構成する要因として「同語」「派生語」「音声的類似」「語彙的連想」「応答キーワード」を設定した。重回帰分析の結果,上位群・中位群とも錯乱肢の魅力度を構成する有意な要因は見出せなかった。下位群においては「応答キーワード」と「語彙的連想」の2つの要因から成るモデルが錯乱肢の魅力度の予測に有意であった。この研究成果は学会誌に投稿し,現在審査中である。 3点目は,日本人大学生約200人が受験したTOEICリスニングセクションのPart 3およびPart 4のデータを用いて,比較的長めのパッセージを本文とする4択のリスニングテストの錯乱肢の魅力度を検証した。錯乱肢のもっともらしさを構成する要因として「同語」,「類義語」,「派生語」,「否定語」,「限定詞」の5つを設定した。ステップワイズ法による重回帰分析の結果,「同語」が錯乱肢のもっともらしさを予測する一番の要因であることが分かった。この研究成果は学会誌に投稿し,現在審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りデータ収集およびデータ分析が実施できたことから,おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究計画の4年目,最後の年度になるため研究の総括を行う。これまでは量的な分析を中心に錯乱肢の魅力度を検証してきたため,量的な分析をまとめるとともに,質的な研究を取り入れる予定である。 これまでの研究で使用した多肢選択式リスニングテストの項目中から,難易度や錯乱肢の選ばれ方に特徴にあるものを抽出し,どのようにして受験者が正答肢や錯乱肢を取捨選択するかを,プロトコル法(有声思考法)を用いて明らかにしていく。実験協力者として日本人大学生数名を予定している。
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Causes of Carryover |
昨年度と同様に統計分析ソフトとパソコンを購入しなかったためである。統計分析ソフトがWINDOWSの新しいOSに十分に対応できているかの確認がとれなかったために購入を見送ったが,次年度にはWINDOWS 10搭載のノートパソコンとこのOSに対応した統計分析ソフトを購入する予定である。
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