2017 Fiscal Year Research-status Report
韓国の英語のデジタル教科書に関する調査と日本への示唆
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15K02798
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
カレイラ松崎 順子 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (40454186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 韓国 / デジタル教科書 / 英語 / 小学生 / 中学生 / ICT / 教育格差 / 小中連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度入力したデータをもとに学会発表と論文の執筆を中心に行った。学会発表は3本行い、韓国でデジタル教科書やテレビ番組などのICTがどのように英語の教育格差の縮小に貢献しているのかについてThe 24th Global Conference on Business and Financeにおいて「The Widening Socioeconomic Gap in Korean Students’ English」という題名で発表を行った。さらに、2018 Hawaii International Conference on Arts & Humanitiesでは「Vocabulary Analysis of Digital Materials of Hi, Friends!1 In Japan and English E-textbook in Korea: According to parts of Speech Achievement」という題名で発表を行い、日本と韓国の英語のデジタル教科書で使用されている語彙が品詞別にどのように異なるかについて発表を行った。さらに、 53rd RELC International Conferenceでは、What can we learn from English e-textbook in Korea?という題名で発表を行い、韓国の英語のデジタル教科書からどのようなことが学べるかについて様々な角度から論じた。 論文に関しても3本発表し、「韓国の小学3年生対象の英語のe教科書の内容分析」、「韓国の英語のe教科書の内容分析―小中連携に示唆を与えるために―」「韓国の小学3年生対象の英語のe教科書および『Hi, friends!1』のデジタル教材の品詞別の語彙分析」という題名の論文を学会誌、紀要などに掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に韓国のデジタル教科書(3年生から6年生)を入手し、データーベースを作成したが、今年度はそれらのデータベースをもとに分析を行い、以下のことが明らかになった。 第一に、小学3年生から小学6年生のe教科書4冊を分析し,コンテクストの特定化および対話構造を調べた結果、対話者の国籍および対話場所がすべて特定されており,コンテクストの特定化は非常に高いということが明らかになった。さらに,学年が上がるにつれて対話者の一方が韓国人,もう一方が韓国人以外の場合が多く,また対話場面も学年が上がるにつれて,より日常的な場面が多くなり,学習者である小学生の発達・認知・社会的段階を踏まえて制作されていることがわかった。 第二に、韓国の小学3年生対象の3種類の英語のe教科書のコンテクストと談話構造を分析した結果,対話者の国籍および対話場所において不明なものがほとんどなく,さらに,場面数,対話数,ターン数に関しては,どのe教科書においても1場面に発生する対話数はおおむね1対話が多く,その対話は2ターンからなることが多かった。さらに,1対話内のターン数は一定(1~3ターン)の傾向にあり,対話のやり取りが定型化されていることが明らかになった。 第三に、韓国の小学3年生対象の3種類の英語のe教科書および日本で使用されている『Hi, friends!1』の語彙を品詞別に分析を行った結果,『Hi, friends!1』では食べ物の話題や色の表現に偏っているにもかかわらず,韓国のe教科書よりも語彙の種類が多く,一方で,語彙の繰り返しが少ないことが明らかになった。さらに,動詞に関しては最も多用されていた動詞はlikeであり,基礎的な動作動詞があまり使われていなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方針としては、小学3年生から6年生の分析を語彙面から行い、語彙が学年が上がるにつれてどのように変化しているのかを明らかにしていきたいと考えている。さらに、それらを国際学会で、および論文として発表していく予定である。 また、日本で現在使われている中学の英語のデジタル教科書の分析と教科書ではないが小学生対象の英語のテキストであるLet's Goのデジタル教材の分析も行い、それらと韓国の英語のデジタル教科書と比較し、日本の小中学校の英語教育へ示唆を与えていきたいと考えている。 また、韓国の英語教育およびデジタル教科書の現在の状況をより広く把握するために、続けて資料収集を行い、さらに、韓国では英語における教育格差を縮小するためにICTやテレビ、図書館など様々な試みが行われているため、それらについても幅広く調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度はサバティカルで海外に在住のため、物品や書籍など検品ができないものを購入することができなかった。来年度も同様に海外在住で、検品が必要なものは購入できないため、主に旅費に使い、サバティカル終了後すぐに、パソコン・統計ソフト・書籍など必要な物品を購入していく予定である。
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Research Products
(8 results)