2019 Fiscal Year Research-status Report
語用論的指導を奨励する教員サポート体制の整備とこれからの語学教員教育
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15K02802
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石原 紀子 法政大学, 経営学部, 教授 (90523126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 語用論的指導 / 多文化理解 / プラグマティックス指導 / 教員養成 / 教員のプロフェッショナル・デベロップメント / 教員アイデンティティー / (イン)ポライトネス / 航空英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、米国政府研究機関であるCenter for Advanced Research on Language Acquisition (CARLA) の語用論研究データベースの更新作業が本研究の研究計画の一つであったが、著作権の問題で2018年度に改訂を打ち切ることとなったため、本年度は完成させたサイトの利用に留まった。 第二に、研究代表者が共著で出版した書籍Teaching and learning pragmatics の改訂版を出版することも本研究の目標の一つであった。Routledge社との交渉により、この改訂を単著で行うことになったため、昨年度に続き、本年度には単独で第3・4・7・8章の改訂を概ね終えた。 第三に、語用論的ことばの使い方の指導について講演や研修などを通しこの領域での語学教員の発展に寄与することも研究計画に挙げていたが、本年度10-2月には大学院にてこのテーマでのコースを提供した。またミネソタ大学CARLAにて、語用論的指導法について大学院コースをオンラインで指導する依頼を受け、7月に3週間のコースを担当した。このコースには世界各国から10名が参加した。 第四に、第一で述べた改訂で最も重要な観点となるのが、国際語としての英語の語用論的指導についてである。今後この分野の更なる研究を進めるにあたって、まず具体的に国際語としての英語の語用論的使い方の検証が必要であると思い至ったため、航空英語 (Aviation English) のポライトネスの検証を始め、6月の国際語用論学会にて発表した。それを機に航空英語の語用論について国際査読ジャーナルへの論文執筆の依頼を2件受け、現在その論文にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミネソタ大学CARLAのデータベースの更新作業では、著作権に関する予想外の展開があったため、本年度には更新が行われなかったが、昨年度までに更新されたデータベースは、上記で述べた大学院の2コースなどで紹介され、参加者である語学教員に利用された。 上述の書籍の改訂については、時間がかかっているが、2020年9月の〆切に向かって進捗状況はおおむね良好である。 その他の研究は、ほぼ当初の計画通りに進んでおり、また国際語としての英語の例として航空英語を例にとった研究などへと発展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた著書の改訂は比較的大規模で分野への影響もあると考えられるので、最新の文献を研究しそれを語学教員にもわかりやすい言語で表現することが肝要である。本年度までに約四分の三の章の第一草稿は執筆したので、2020年9月の〆切を目指して残りの章の改訂と全体への加筆を行う予定である。現場の語学教員や語用論指導の研究者からも協力を得て草稿に関するフィードバックを得、学術書としても、また実践的にも利用価値の高い書籍としたい。 語用論的指導を周知するための大学院コースや、研修、講演などは、今後も継続して行う予定で、オンラインでの授業なども既に開始している。 また、国際語としての英語の語用論的指導をさらに発展して考慮するにあたって、まず国際語としての英語を具体的に検証する必要があるため、本年度に開始した航空英語のポライトネスの研究も今後発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により参加予定であったアメリカ応用言語学会が開催中止となったことに伴い、研究発表の機会および研究協力者と意見交換する場が、2020年度まで持ち越される事態が生じたため。2020年度には、8月開催予定の大学英語教育学会、及び11月開催予定の全国語学教育学会などへの参加および研究者との会談を計画しており、ウィルス感染が終息しない場合にはオンラインで同等の機会を求める予定である。
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Research Products
(13 results)