2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02805
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
植松 茂男 京都産業大学, 文化学部, 教授 (40288965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヒューバート ラッセル 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (90411016)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CLIL / 早期英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
「外国語で文化や知識を学ぶ」取り組みは英語活動が始まる前の4年生の時点でも一定の成果をあげるのではないかと考え、研究分担者であるHubert准教授が12月に豊中市立千成小学校に出向いて「アメリカの人々と暮らし」と題したお話を英語でし、児童が興味を示すか、どのような心の変化があるのかどうか事前事後アンケートで調べることにした。当日は簡単な紹介のあと、PPTでアメリカの人口・面積、民族などから始まり、食べ物、有名人などを紹介、音楽(ブルースとジャズ)のビデオも見せた。上記のHubert先生によるお話しの前後に、子供達には15問からなるアンケートに協力してもらった。それぞれ「そう思う」、「そうは思わない」の2択で回答する。アンケート用紙を回収して分析の結果、以下のことが判明した。いずれも統計的有意差にまで至らないものの、以下の質問項目で「そう思う」割合が増えた。問5「英語の本を読んでみたい」問10「英語を授業としてやって欲しい」問12「身近なものの名前を英語で言えるようになりたい」その理由として考えられるのは、英語話者の話を聞いて、英語を理解し使えるようになりたいという積極的なアティテュードにつながる刺激があったと考えられる。一方で、以下の質問項目で「そう思わない」割合が事後に増えた。問7「外国の人と手紙やメールのやり取りをしたい」問8「将来、英語を使う仕事をしたい」。英語に積極的である一方で、手紙やメールを使ったやり取りや「仕事」に消極的に回答した割合が増えた理由は「何となく英語を使えるようになりたいと思っていたが、いざネイティブスピーカーの話を聞くとさっぱりわからず、読み書きから「授業として」しっかり教えて欲しい」、ということではなかろうか。 また、リトアニアで開催された「国際CLIL学会」への参加で海外の研究者との交流も進め、知見を広げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度の研究体制であるが、申請時に協力の了解を得ていた大阪府寝屋川市教育委員会指導主事K先生から、「現在大学院にてCLILをテーマに研究をしているので、指導教官からの許可が下りないと協力できない」旨、4月の科研採択時の確認連絡に対して回答があった。以降2ヶ月ほど待ったが、本人から(許可が下りたかどうか)その後何の返事もなかった。さらに、別グループで学会発表等を準備している様子を見て、昨年度までの授業指導案へのアドバイスや協議の要請との大きなギャップに戸惑った。しかるに研究を行う予定であった、寝屋川市立国松緑丘小学校竜田寿子校長から、以前同校に勤務していた荒牧隆教諭を紹介してもらった。この研究趣旨にもっとも適性が高い教諭であろうとご推薦頂いたが、私も以前に同校で授業を見学させてもらった際に彼の授業を見て強い興味を覚えたため、荒牧先生にコンタクトを取り、先生が現在勤務する大阪府豊中市立千成小学校に2015年6月22日(月)ご本人と同校校長渓口雅也氏に研究の趣旨を説明しに伺ったところ、前向きのご返事を頂いた。千成小学校は小規模校で1学年2クラスのみであり、学年すべての児童に同じ研究上の協力ができる。そのため、このような研究において重要になる倫理的な重要側面のひとつ(あるクラスだけ特別授業編成を行ったことに対する手当)が大きな障害にならない。ただし、千成小学校では4年生はまだ英語活動を導入しておらず、荒牧隆教諭が5年生担当になる2016年度から実質的な研究調査体制が取れる。そのため、研究分担者ラッセル・ヒューバート准教授、千成小学校荒牧教諭と以下のCLIL専門書をそれぞれ用に私が購入して各自が読み、何ができるかまずCLILの理解を共有し、ブレインストームすることから始めた。一方で千成小学校には、私のほうからできるだけ出向き、4年生の児童と「親しむ」まで授業参観をさせてもらった。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度(研究2年度目)は、本年度と同じく千成小学校、主に荒牧教諭の協力のもと、英語で「何かを学ぶ」ことが言語知識の発達にどう貢献するか、実際に授業に織り込んで効果の検証を試みる。なお、平成28年4月1日より宇都宮大学 教育学部 山野有紀氏を連携研究者として加える予定である。日本の小学校におけるCLIL導入の第一人者の同氏に千成小学校にて授業を行ってもらいたい。2017年度(最終年度)は、連携をさらに広げ、これまでの検証をしつつ対象となる児童が小学校6年生になるため、さらに多くの授業の試みを実施したいと考えている。
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