2016 Fiscal Year Research-status Report
多読授業に活用されるEPERテストの妥当性と読む速度の発達における多読の効果
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15K02807
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉澤 清美 関西大学, 外国語学部, 教授 (80210665)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多読 / 外国語での読み / 意味重視の読み / 読む速度 / テストの妥当性 / EPERテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に引き続き、下記の研究目的(1)、(2)、(3)のための、データ収集を行った。(1)多読プログラムのプレイスメント並びに読みの発達の測定に使われているEdinburgh Project on Extensive Reading (EPERテスト)の妥当性を研究する。(2)多読を継続することにより、読みの流暢さはどのような時系列的変化を見せるのかを検証する。更に、多読開始時の英語力、読書量と読みの流暢さの発達はどのような関係にあるのかも分析する。(3)読みの流暢さが発達した学習者には量だけが影響を与えているのであろうか。研究代表者に加えて、高瀬敦子氏、大槻きょう子氏に研究協力者として全般的に研究に加わっていただいた。 以下のデータ収集を実施した。データ収集には、リーディング用の教科書を使いながら付加的に多読を実施するクラス(2クラス)、通常のリーディングクラス(統制群)2クラスからの協力を得た。 ①リーディングプログラム開始直後、中間時点、終了直前にEPERテストを実施した。②リーディングプログラム開始直後と終了時、EPERリーディングテスト、TOEIC IP テスト(統制群のみ)、語彙レベルテスト(統制群のみ)を実施した。③リーディングプログラム開始直後、春学期終了時、秋学期開始時、秋学期終了時に学習者の読む速度を2~3回測定した。④学習者の多読図書の読み方、英語での読書に対する態度を測る質問紙(Takase & Uozumi, 2014)をプログラム開始前、中間時、終了時に実施した。⑤一年間を通して、多読クラスの学習者が読んだ本の記録をとり、学習者毎の読了本。 現在、平成27~28年度収集データの入力、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたデータ収集は2016年度末をもって終了した。現在、これまで収集したデータの入力、分析を鋭意進めている。しかしながら、以下の点については、平成27年度の交付申請書作成時のデータ収集の予定とは異なる。 (1)平成27年度の交付申請書作成時には、平成28年一年間の多読プログラウム終了時に読む速度がそれほど伸びていない学習者がどのような読み方をしているのかを面接調査で確認することを予定していた。しかしながら、平成28年にデータ収集を予定していた教育機関において多読を主としてクラス運営を行うことが困難な状況となった。このため、本研究では面接調査の実施を断念せざるを得なかった。また、平成28年度の多読を付加的に行っていたリーデイングクラスのデータは平成27年度収集の多読クラスのデータと分けて分析をする必要があるのかどうかを慎重に判断する必要がある。 (2)上記研究実績概要(1)の研究目的(多読プログラムのプレイスメント並びに読みの発達の測定に使われているEPERテストの妥当性研究)に関しては、英語外部試験としてTOEIC IPを平成27~28年に実施した。受験は研究参加者の任意であり、受験者数を予測することが極めて難しかった。特に、統制群に関しては、受験人数が予想をはるかに下回った。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は現在まで収集したデータの分析を進め、深く考察を加える。更に、国内外の応用言語学者と収集データの解釈について議論を行う。研究結果を論文にまとめ、国内外の学会で発表、ジャーナルに投稿する予定である。 データ分析は以下の点について行う。①多読プログラムのプレイスメント並びに読みの発達の測定に使われているEPERテストの妥当性(EPERテストと英語での読みに関する自己診断の関係、EPERテストの結果と他のリーディングテスト結果との関係の検証)、② 読書量入力が完了した段階で、学習者のEPERテストにおける英語リーディング力の伸び、読む速度の伸びが読書量とどのように関係しているかを潜在成長曲線モデル等を使い分析する。③ 読む速度が伸びている学習者と伸びがあまり見られない学習者では、多読図書の読み方、英語での読書に対する態度がどのように異なるかを調べるための質問紙(2015~2016年度実施)を分析する。
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Causes of Carryover |
米国、オレゴン州ポートランド市で開催された American Association for Applied Linguistics 2017 Annual Conference で研究発表を行うため、2017年3月17日~24日の間米国へ出張した。学外の研究協力者1名も同じ日程であったが、この方の旅費精算が2016年度には実施できず、2017年度に繰り越した。このため、次年度使用額が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度配分額と合わせて、隔年開催される多読世界大会(The Fourth Extensive Reading World Congress)などの研究発表のための国内出張旅費(研究代表者、研究協力者2名)、国外出張旅費の補助、並びに、科研研究のための作業・打合せのための国内旅費(研究協力者2名)、会議費(研究代表者、研究協力者2名)、データ入力業者依頼料(EPERテスト分)、アルバイト代、学外研究者専門知識提供謝礼に使用する。更に、英文校正依頼料、通信費などが必要となる。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 多読で伸びる文法力2016
Author(s)
吉澤清美、髙瀨敦子、大槻きょう子
Organizer
関西英語教育学会2016年次大会
Place of Presentation
大阪教育大学 (大阪府)
Year and Date
2016-06-12 – 2016-06-12