2015 Fiscal Year Research-status Report
第一次世界大戦中のフランス領インドシナ経済界の動向と日仏外交関係
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15K02812
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松沼 美穂 群馬大学, 教育学部, 准教授 (40438304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 第一次世界大戦 / フランス領インドシナ / 日本 / 帝国史 / フランス海外領土史学会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、6月4日~5日までパリで開かれた、フランス海外領土史学会(Societe francaise d’histoire d’outre-mer, SFHOM)の主催による学会「第一次世界大戦と植民地帝国」における研究発表の準備を4、5月に行い、学会では「インドシナ財界と対日関税政策」(Le patronat indochinois et la politique douaniere a l’egard du Japon)と題する発表を行った。フランス内外の研究者と情報交換を行い研究動向を把握した。19世紀末~20世紀初頭の植民地業界団体の研究を専門に行っているジュリ・アンデュリアン(Julie d’Aandulain)陸軍士官学校歴史研究所主任研究員からは、史料・文献について具体的な助言を受けることができた。 夏季休暇中に渡仏し、パリ大学アジア現代史センター、フランス全国歴史地理教員協会、外務省外交史料館で、第一次世界大戦期のインドシナとアジア国際関係およびインドシナ関税をめぐる日仏交渉についての史料・文献調査・共同研究、意見・情報交換を行った。 以上の成果を踏まえて、上記SFHOMの発行する学会誌Outre-Mersに投稿するための論文「第一次世界大戦とインドシナの対日関税政策」(La Grande Guerre et la politique douaniere indochinoise a l’egard du Japon)を執筆した。この論文は同誌が2016年3月に発行を予定していた第一次世界大戦に関する特集号に掲載されるが、2016年4月の時点で発行が遅れており、5月ごろに発行の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年6月の学会発表は、研究の完成段階ではないため準備が間に合うか不安があったが結果的には、この準備が研究を前進させる動機となり、あるていどまとまった発表を行えたことから、よいタイミングだったといえる。学会で得た意見交換や助言は、夏季休暇中の史料調査を助ける結果となった。パリの学会の成果を刊行するためにフランス語の論文を執筆することになったため、次年度を想定していたこの作業を今年度中に進めることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を通して、今後の課題として、大戦中の動向と大戦後の関税問題交渉とのつながりを考察する必要性が認識された。ゆえにまず考察を、大戦後の日本・インドシナ間の関税交渉にまで延長する、少なくとも概要を理解する必要がある。このための文献調査が今年度の第一の作業である。これをふまえたあらたな史料収集、および研究発表のために、9月に渡仏の予定である。後者の点は、フランス全国歴史地理教員協会の事務局長が9月に、パリの国際大学都市のカンボジア館でインドシナ史に関するシンポジウムを開催する計画への参加を打診してきたためである。この時期に渡仏すればパリ大学アジア現代史センターのセミナーなどでの研究発表も想定可能である。これと並行して、日本の京都大学の研究者を中心として進んでいる、第一次世界大戦に「関する最新の研究を編集する出版企画への参加も決まっているため、日仏関係の視点からインドシナも視野に入れて日本語論文を執筆し(仮題「大戦初期の日本陸軍の欧州派兵問題―フランス外交の視点から」)公刊に向かう見通しである。
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Research Products
(3 results)