2016 Fiscal Year Research-status Report
第一次世界大戦中のフランス領インドシナ経済界の動向と日仏外交関係
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15K02812
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松沼 美穂 群馬大学, 教育学部, 准教授 (40438304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 第一次世界大戦 / 仏領インドシナ / 関税政策 / 日仏関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、9月15日~10月3日まで、パリを中心にフランスで文献・史料調査と研究発表を行った。パリ大学アジア現代史センターの教授ピエール・サンガラヴェル(Pierre Singaravélou)氏に助言を受けたほか、彼の主催する研究会で9月23日に「第一次世界大戦と日本とアジア」と題する発表を行った。陸軍士官学校(Ecole Militaire)の図書館で史料・文献調査い、同学校歴史研究所主任研究員ジュリ・ダンデュラン(Julie d’Aandulain)氏と意見・情報交換を行った。2017年3月に渡仏した際に、フランス全国歴史地理教員協会がパリ国際大学年で主催したシンポジウム「20世紀インドシナ・独立への道?」において、「日本からみた仏領インドシナ:20世紀初頭」と題する発表を行い、第一次世界大戦中の日仏関税交渉についても取り上げた(3月23日)。フランス語論文“La Grande Guerre et la politique douanière indochinoise à l’égard du Japon”(「第一次世界大戦とインドシナの対日関税政策」)がフランス海外領土史学会(Société française d’histoire d’outre-mer)の機関誌Outre-Mersに掲載された(Outre-mer, revue d’histoire, no. 390-391, 2016, p. 87-104)。京都大学法学部教授奈良岡聰智氏が立ち上げた論文集出版企画に参加するために書いた日本語論文「大戦初期の日本陸軍の欧州派兵問題―フランス外交の視点から」は、同教授から音沙汰がなくなり企画が流れたと想定されるので、他誌への寄稿を希望し検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度中に海外で研究発表が2回できたこと、およびフランス語論文が刊行されたことは順調な成果であった。一方で、参加を依頼された出版企画に呼応して書いた日本語論文が、企画主催者からの音沙汰が絶えた(何度連絡しても返事がない)ためいまだ公表できていないことは想定外であった。これらを総合すると、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は補足的な史料収集と、大戦100周年が終盤に入るのに合わせた研究動向把握のため、渡仏を検討している。終戦100周年となる来年に行われる国際学会を視野に入れて研究発表の可能性を検討しながら、本研究の課題および大戦終結あるいは講和会議と日仏インドシナ関係についての考察をまとめる予定である。上記に触れた日本語論文の掲載先を見つけることが当面の具体的な課題である。
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