2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02825
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50310769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 孝謙 / 称徳 / 安居 / 国分寺 / 国分尼寺 / 法華寺 / 天 / 祖先祭祀 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a)国分寺・国分尼寺の完成時期からみた、仏教的「天」の思想の生成過程について、国分寺・国分尼寺が天平感宝元年と天平神護元年の安居の二段階で完成したことを解明し、孝謙・称徳「王権」の歴史的変遷と明確に連動していることを明らかにした。この内容を含む報告を、6月の東大寺で開催された研究会(東大寺要録研究会)で、「天皇と諸大寺、国分寺・国分尼寺の安居―『東大寺要録』所引「安居縁起」の基礎的検討―」と題して行い、その一部を12月に「国分寺と国分尼寺の完成―聖武・孝謙・称徳と安居―」の題名で『国史談話会雑誌』56号に掲載した。関連して、国分寺・国分尼寺の文献及び考古学成果の調査を進めるとともに、とくに『東大寺要録』写本の検討・確認のため、東大寺図書館で資料閲覧を実施した。 (b)仏教的天の思想の生成を明らかにするため、孝謙出家に関わる仏教事業について、『続日本紀』や正倉院文書、聖教を利用して、大和国法華寺の創建と展開、および孝謙出家に関する史料の整理と検討をすすめた。 (c)即位や祖先祭祀に関する日唐比較については、伊勢神宮関係史料と中国史料の収集にあたるとともに、唐代の祖先祭祀の研究(韓国語)を翻訳することで、アジアの研究状況への理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仏教的「天」の思想の生成と関連すると予測した仏教政策、とくに国分寺・国分尼寺の完成過程を解明した論考は、研究会での口頭報告を経たのち、予定よりも早く年内に刊行できた点は、とくに順調であると評価できる。合わせて孝謙出家に関わる史料のうち、成立期の大和国法華寺の検討を進めることができたことは、次年度以降の研究成果結実に向けたステップを踏んだ。なお、即位や祖先祭祀に関わる日唐比較、とくに唐の史料収集がまだ序盤に過ぎない点は、次年度に進めるべき課題として残ったほか、伊勢神と祥瑞に関する論考の公表も、平成28年度に回すこととした。また認定された科研費は、申請額よりも減じており、HPを作成することなどを断念している。これらの点を総合的に判断し、おおむね予定に従って順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画におおむね従い、次の3点から検討を進める。(1)仏教的「天」の思想の生成過程を明らかにするため、孝謙出家の歴史的実態や、その政治的意図、政策との関係を解明する。そのため、法華寺や嶋院の成立と展開、孝謙・称徳と関わる写経事業や受戒関係史料を検討する。写真撮影を含む資料収集を行うほか、その成果は年度内に投稿する予定である。(2)伊勢神宮の性質の転換について、唐や新羅などとの比較史料の収集に努め、年度内に研究会で発表を行い、公刊への準備をすすめる。(3)「皇位天授の思想」の検討のため、祖先祭祀や即位儀礼に関する日唐新羅の儀礼比較を進めるとともに、日本における天や天皇霊の変質過程を解明する。関連する韓国語論文の翻訳を厳選して行うほか、(2)のテーマとあわせて、年度内に研究会での発表を行い、公刊への準備をすすめる。これらの目的を達成するため、アルバイトを活用して資料整理をすすめる予定である。
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Research Products
(2 results)