2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02829
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
熊谷 隆之 富山大学, 人文学部, 准教授 (70553113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鎌倉幕府 / 政治史 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鎌倉幕府後期の政治史を、より総体的かつ通時的に把握するという目標に向け、後期鎌倉幕府の人事・組織・人脈に関する基礎的データを提示することで、鎌倉幕府後期政治史研究を、得宗専制論を越えて、より多角的かつ効率的に研究しうる段階へと進むための基礎づくりを行うことを目的とする。 本研究を進めるうえで「作業台」となるのは、「鎌倉幕府政治史関係史料データベース」(仮称)である。データベースソフトで、1史料ずつを年月日順に並べ、1史料ごとに「年月日」「分類」「国名」「史料名」「史料本文」「出典」の各項目を設けた。データベースソフトの機能を用いて、様々な検索や絞り込みが可能である。 平成29年度は、前年度に引き続いて「鎌倉幕府政治史史料データベース」(仮称)の増補・整理を進めることで、後期鎌倉幕府の人事・組織・人脈に関する基礎的データを提示する、という目的への到達を見据え、その実現の見通しを得ることを目指した。具体的には、データベースソフトを用いて、後期鎌倉幕府における幕閣の婚姻関係をはじめとして、政治史関係史料の増補・整理をさらに進めた。 その結果、成果として、論文「伊賀国玉滝杣の成立と四至」(栄原永遠男・佐藤信・吉川真司編『東大寺の新研究2 歴史のなかの東大寺』法藏館、2017年3月)を執筆・公表することができた。摂関・院政期における朝廷での法廷闘争を経て、東大寺領玉滝杣が「成立」するまでについて論じたものである。この訴訟の1当事者で、京都の最たる軍事貴族であり、北伊賀から伊勢国にかけてを最たる基盤とした平忠盛、その有力郎党の存在形態たる「京武者」の人間関係は、のちの京都・鎌倉間の有力武士にも脈々と意外な影響を与えていた。宇都宮・武田・小笠原氏などをその代表例とする。具体的には、平成30年度に上記に関する学術論文の公表を期する次第である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
後期鎌倉幕府の人事・組織・人脈に関する基礎的データの収集・整理が順調に進んでいる。また、学術論文も執筆・公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度以前に得た後期鎌倉幕府の人事・組織・人事に関する基礎的データの蓄積をうけとめ、それらを全面的に展開・総括する段階へと進む。論文の執筆・公表とともに、可能であれば、研究調査報告書の刊行も目指す。
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Causes of Carryover |
残額が少額だったため、次年度交付分とあわせ、図書の購入などにあてたい。
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Research Products
(1 results)