2015 Fiscal Year Research-status Report
〈日本宗教史〉の宗教史-近代日本宗教史の通史にむけて
Project/Area Number |
15K02835
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 輝臣 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (20314974)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日本宗教史 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、「日本宗教史(通史)一覧」に着手するとともに、そのうち重要と考えられるものについて、その著者・執筆意図・参照文献などの分析を行った。当初の予定とは若干異なるが、本年度はとりわけ後者に力を注いだため、前者を公開するには至らなかった。しかしその分、内容面では望外の成果を得た。具体的には、土屋詮教と比屋根安定の〈日本宗教史〉に検討を加えたことで、両者の共通する態度として、宗教協調への融和性などが見出されたこと、そしてこのことと日本宗教史を執筆するという行為とは関連があると想定されることが明らかとなった。また比屋根の著書の改訂内容を分析した結果、〈日本宗教史〉から、それが記された時期の宗教的関心を読み取ることが可能であるとの確信を得た。いずれも今後の基礎となる成果である。 つぎに、実作との関わりとして、〈日本宗教史〉が前提としている「通史」という存在について、比較史の視点を踏まえて問い直す試みを行った。具体的には、2015年12月の九州史学会において、大会シンポジウム「正史の近代-修史事業と歴史学」を組織し、日本史はもちろん、中国史・朝鮮史・トルコ史・西洋中世史の専門家をパネラーに招き、通史というものを成り立たせる場について議論を行った。当然視して疑問にすら思わない「通史」なるものがいかに成立しているかの検討は、〈日本宗教史〉の実作を試みる上で不可欠の作業であった。 さらに、〈日本宗教史〉にまつわる実作への批評も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「日本宗教史(通史)一覧」の仮稿の作成に予想外の時間を要したことが原因である。対象となるものの分量が、想定より多かったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
幸いにも、所属研究機関の変更により、主として検討を加える対象人物の史料所蔵機関へのアクセスが劇的に容易となった。このメリットを活かして、今後の研究を推進していく方策である。
|
Causes of Carryover |
年度途中で次年度以降の研究機関変更が決まったため、新たに所属する研究機関近隣の史料所蔵機関への出張を差し控え、次年度に回したことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進捗によって、新たに出張を要する史料所蔵機関が出現したため、その費用へと振り替えて使用する。
|
Research Products
(3 results)