2016 Fiscal Year Research-status Report
古代難波地域像の再構築-近世絵図資料と中世史料の検討を通して-
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15K02848
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西本 昌弘 関西大学, 文学部, 教授 (00192691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古代難波 / 難波津 / 近世絵図資料 / 中世史料 / 森幸安 / 日本輿地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、東京大学史料編纂所・宮内庁書陵部・国立国会図書館などに出張し、近世の大坂古絵図、大阪地域に関する中世史料、難波地域・難波津に関する古代史料などを探索した。出張調査の結果、新たに確認できた資料・史料については、必要部分を紙焼写真の形で収集した。これらについては、順次読解・解読を施したのちに、研究協力者に依頼して、トレース図の作成を進めている。また、古代難波地域の復原に関係する古代・中世地名や古代・中世史料については、昨年度からデータ収集およびデータ入力を進めているが、今年度収集した地名・史料についても、順次データ入力を行っていった。 今年度は、江戸時代から昭和戦後期に至る古代難波津の位置に関する研究を網羅的に読み込み、研究史の流れを把握するとともに、その成果を論文の形でまとめた。論文作成の過程で、江戸時代の暁鐘成『摂津名所図会大成』や大正期の幸田成友『大阪市史』などが現在につながる重要な指摘を行っていること、昭和戦後期における天坊幸彦・瀧川政次郎・山根徳太郎らの論争によって、古代難波津の位置をめぐる重要な論点が提示されていることが確認できた。こうした厚い研究史のなかに、中世・近世史料も多く活用されており、今後の研究に有益な手がかりを得ることができた。 次年度は、こうした研究史を踏まえつつ、新たに収集した古地図・中世史料などを追加しながら、新たな古代難波地域像の再構築をめざしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は江戸時代以降の研究史を読み込み、研究の流れを確認した結果、これまでに利用されてきた中世・近世史料の存在を改めて確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
近世絵図資料と中世史料の収集をさらに進め、研究史の読み込みによって確認できた中世史料を含めて、古代難波地域像の検討を深めたい。古代難波津に関する1960年以降の研究史も追究したい。
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Causes of Carryover |
購入予定の図書の刊行が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定の図書が刊行され次第、早急に購入したい。
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