2018 Fiscal Year Annual Research Report
THE BASIC RESEARCH FOR THE TRANSFORMATION AND COLLAPSE OF JAPANESE ANCIENT MONEY SYSTEM
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15K02850
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
森 明彦 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 名誉教授 (90231638)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 古代貨幣 / 沽価と估価 / 月借銭 / 新銭 / 市 / 苧 / 銅銭 / 交換手段たる支払手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度の今年度の成果は以下の四点である。 第一点は日本古代貨幣論構築に向け、メソポタミヤや西洋古代との比較の中で東洋古代貨幣としての日本古代貨幣の特質を究明することである。メソポタミヤに関してはカール・ポランニーの提起した支払い手段説の問題点を、2019年の奈良文化財研究所における研究会での口頭発表および報告要旨集において指摘した。また西洋古代貨幣に関してはイングランド貨幣に焦点を当て、2019年の3月に英国ワーブルク研究所等での調査および研究者との対話を行ないイングランド古代貨幣史同様、日本古代貨幣研究においても古泉学が重要であるとのを認識を得た。 第二点は、和銅五年十月乙丑条が通説のような銭貨の全国流通政策の一つではなく、すべて国家に回収され流通過程に入るものではないことを解明し、奈良文化財研究所における研究集会において報告を行った。 第三は、平安時代における貨幣制度変容崩壊の一大要因となった当十貨幣発行の端緒となった奈良三銭の行使時期における借銭事業を検討し、その全体像の解明を目指したことである。この中で、『大日本古文書』および従来の研究が誤っていた一点の史料の日時を特定することによって、写経所における借銭事業の具体的在り方を描くことができた。 第四は、内蔵寮木簡と屋代遺跡布手木簡の再検討を行う中で、高級織物である紵=苧(テヅクリ)の官による払い下げおよび、紵=苧(カラムシ)や葛を原材料としての織成形態を明らかにした。第三の成果とともにそれぞれ学会誌への投稿を準備している。
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Research Products
(2 results)