2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the spread of literate culture to regional society and literacy in ancient Japan
Project/Area Number |
15K02852
|
Research Institution | Miyazaki Sangyo-keiei University |
Principal Investigator |
柴田 博子 宮崎産業経営大学, 法学部, 教授 (20216013)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 出土文字資料 / 墨書土器 / 古代硯 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、本研究の研究成果報告書として、冊子体で『日向国出土墨書土器集成・補遺(4)、薩摩国出土古代墨書土器集成・補遺(2)、大隅国出土古代墨書土器集成・補遺(1)』(全128ページ)を製本し、国立国会図書館をはじめ古代の文字文化に関わる研究に従事している全国の研究者・機関に配付した。本研究課題は当初計画では2017年度に終了する予定であったが、研究方法の進歩により、硯・転用硯についてはルーペを用いた観察を行うことで、墨の有無が分かるので、日向国府跡出土の硯・転用硯200点余りについて確認することにした。そのため集成に掲載する実測図作成に時間を要し、2018年度まで研究期間を延長した。これにより日向国府域において出土した硯・転用硯については、墨・朱の有無や擦痕の有無(擦痕のない転用硯は墨溜め)を確認でき、使用状況を検討する基礎的データを獲得することができた。国府域では硯面の残る定型硯はすべて使用痕跡があったが、216点におよぶ広義の転用硯のなかには20点の墨溜めがあること、朱の墨溜めもみられることなどが判明した。 上記の報告書には集成に加えて、鹿児島県で出土した恐らく中国福建省産の「荘綱」墨書貿易白磁と、長崎県出土の刻書のある滑石製石鍋という中世初期の文字資料について、および伊予・松山から宮崎県へもたらされたと推測される奈良時代の円面硯についての、2本の論考も掲載することができた。 また文字文化に関する新出の資料を調査する機会を得たことから、中国西安・洛陽・広州における調査を行なった。特に洛陽では8世紀の刻書が多くあることを確認でき、日本の古代の墨書・刻書土器との関わりを今後検討していくことができるのではないかと考えている。
|
Research Products
(4 results)