2015 Fiscal Year Research-status Report
17~19世紀日本列島における屎尿流通の基礎的考察
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15K02857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒武 賢一朗 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90581140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | し尿 / 肥料 / 流通史 / 農業史 / 衛生史 / 商業史 / 比較史 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主たる活動は、1)研究課題に関する先行研究の検討と課題の抽出、2)歴史資料調査の実施、3)収集資料のデータ化、4)研究成果の口頭発表、の4点である。 1)は、これまでの研究成果について著書『屎尿をめぐる近世社会―大坂地域の農村と都市―』(清文堂出版、2015年1月刊)では近世大坂を中心に研究史整理をおこなっているが、今年度はそれを日本各地、さらには近世から近現代に範囲を拡張し、諸論考を収集しながら内容の解析を進めた。それによって、近世・近現代における屎尿流通の基礎情報を集積することができた。また、近代日本に大きな影響を及ぼすヨーロッパの農地利用や肥料に関する学説も併せて考察している。2)は、東京、大阪、三重、福岡などの資料所蔵機関を訪問し、関係資料の収集に努めた。とくに、公刊されている自治体史(市・町・村の歴史)や各地の資料集を閲覧し、既出データの状況をまとめることができた。3)では、上述の1)および2)で得られた研究・資料情報を一覧化し、研究の到達点や資料情報の集積を公開できるよう作業を進めている。4)については次年度以降に予定していたものを前倒しする形で、国内外において口頭発表をおこなう機会を得た。国内では、第84回社会経済史学会全国大会をはじめ、経済史関係の研究者が多数出席する場で自身の成果を公表している。また、海外ではアメリカ・シカゴ大学、ドイツ・ハイデルベルク大学、中国・中山大学でそれぞれ本課題に関連するテーマで発表をおこなった。とくに、ドイツでは英語発表であったため、当日参加したヨーロッパやアメリカの日本史研究者に当該課題の重要性を発信することができた。 今年度は資料調査や収集などの基礎作業を主体にしながら、その一部を口頭発表などで発信できたことは次年度以降につながる大きな成果といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関係する文献および歴史資料の調査は、資料所蔵機関や図書館などの協力により、計画通りに進めている。収集資料に関しては、研究代表者と調査業務補助員が分析とデータ入力をおこなっており、こちらもほぼ予定通りに遂行している。また、研究発表において、学会・研究会の出席者から新しい情報を提供されることもあり、次年度に向けた有益な活動を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題である17世紀から19世紀における屎尿流通の基礎分析を進展させるため、引き続き資料収集を進めるとともに、外部の専門家を招へいして研究会を実施する予定である。とりわけ意識的に取り組みのは、各地の事例をできるだけ多く集積することと、海外における研究動向を含めた当該研究の意義を打ち出すことである。
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Causes of Carryover |
1)予定していた海外出張旅費が少額になったこと、2)調査業務補助の謝金が予定より少額になったこと、3)今年度に予定していた英文校閲を次年度に実施すること、の3点が挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、旅費、研究会開催の費用及び英文校閲費として支出する。
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Research Products
(6 results)