2015 Fiscal Year Research-status Report
支配錯綜地帯における藩地域論の展開―越後国新発田藩を中心に―
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15K02862
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 直史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70270931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅倉 有子 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70167881)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 藩地域 / アーカイブズ / 支配錯綜地帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の当初計画は、1.新発田藩に関する藩地域アーカイブズを構成する主要史料(新発田市立図書館所蔵新発田藩政史料、同所蔵大庄屋斎藤家史料等)の体系的な調査と電子化作業、2.これらを前提とし、藩地域アーカイブの構造と支配錯綜地帯の特質とに注目した担当毎の分析作業、3.公開研究会の開催や主要史料の翻刻刊行等による知見の共有と総合をあげたが、下記に示すように1および3の面で十分にこれにとりくむことが出来なかったため、2で掲げた担当者毎の個別の史料調査と分析に作業を注力することとし、およそ以下の成果を得た。 在地史料(大庄屋・地主史料)分析担当の原は、県内外の史料調査に基づき、新発田藩領海岸部と隣接幕領海岸部との間で、新潟・沼垂の争論の積み重ねにも影響されつつ、地域海運への関与の形が明瞭に異なってくることや、文政11年越後三条地震に際して、新発田領内の在地知識人が複数所領にまたがる被害情報を集積し得たのは何故かという問題などについて、論文としてとりまとめ、本研究の主要テーマである支配錯綜地域における藩地域社会に固有の論点を提示することができた。 また藩政史料分析担当の浅倉は、藩アーカイブズとも密接な関係を持つことが本研究の前提となった諸研究で明らかにされている大名家「道具」類の伝来について、新発田藩とも所縁のある高田藩松平家を主対象として詳細に分析を行い、その政治性などいくつかの論点を提示することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においては、主要史料を所蔵している新発田市立図書館のリニューアルに伴う諸事情ならびに主担当者である原の本務の関係で、上記にあげた1の藩地域アーカイブズを構成する主要史料の調査がうまく進まず、またその影響で3の史料集刊行等も先送りとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように本研究の進捗はやや遅れているが、新発田図書館のリニューアルの方向性も整いつつあることから、早急に態勢を整え、学生アルバイトなどを効率的に用いて史料調査とデータの電子化作業を進めていく。また昨年度実施できなかった公開研究会を複数回実施し、また年度内には複数の史料集刊行を行いながら、知見の共有と総合をすすめていくことを目指す。
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Causes of Carryover |
27年度においては、主要史料を所蔵している新発田市立図書館のリニューアルに伴う諸事情ならびに主担当者である原の本務の関係で、藩地域アーカイブズを構成する主要史料の調査作業を組織することが出来なかったため、謝金として想定した部分を中心とし、これに係る物品費も含めて未使用となった。またその影響で史料集刊行等も先送りとしたため、これに充てる部分の費用が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度においては、上記の史料調査の態勢を再構築し、学生アルバイトを雇用して効率的にこれを進め、その成果を刊行していく計画を立てているため、上記未使用分を使用していくこととなる予定である。
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Research Products
(5 results)