2017 Fiscal Year Research-status Report
オーラル・ヒストリーによる戦後日本の戦傷病者と家族に関する研究
Project/Area Number |
15K02863
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤原 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30362338)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | オーラル・ヒストリー / 現代日本史 / 戦争 / 戦傷病者 / 障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、本研究前半期に実施した福井県下の戦傷病者とその家族の口述記録の整理と分析に加え、研究成果発表に向けてのいくつかの具体的進展があった。口頭発表では平成30年3月、障害の歴史研究会において「福井県の戦傷病者の生活実態:戦傷病者の家族へのオーラル・ヒストリーから」と題した報告を行った。同報告では、福井県下でこれまで実施した口述記録の内容を伝えるとともに、4名の戦傷病者の家族(妻)の聞取りを紹介しながら、彼女たちにとって戦傷病者を配偶者に持つことの意味、戦傷病者の家族の特徴、彼女たちの視点からの傷痍軍人会や妻の会について私見を述べた。同研究会参加者から、福井県の戦傷病者を取り上げた理由等の今後この研究を推進していく上で重要な質問やコメントが寄せられた。また、同月、合衆国アイオワ大学において開催された日本研究シンポジウムにて “What Forgotten People Tell Us: Oral History of Japanese Disabled War Veterans and Their Families”と題した報告を行った。この中で、ご存命の家族への聞き取り調査の分析方法に関して出席者と意見を交わす機会があり、示唆に富む報告になった。論文執筆に関しては、障害の歴史研究会の会員とともに日本研究英文雑誌Japan Forumへの特集「日本の障害者史(仮題)」として論文投稿を執筆することが決定した。さらに、日本の戦傷病者に関する歴史研究書の出版の申し出があり、現在出版に向けて執筆に取り組んでいる。その中でも福井県下の戦傷病者とその家族への聞き取り調査結果を研究成果として取り上げる予定である。「しょうけい館」と連携し、福井県下の戦傷病者とその家族への証言映像を撮る企画を進めてきたが、「しょうけい館」の諸般の事情により平成29年度の証言映像撮影は延期となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報告や論文執筆に関しては順調に推移しているが、29年度に予定していた「しょうけい館」との福井県下における証言映像の取材が、「しょうけい館」の諸般の事情により中止になったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
30年度は本研究の成果発表として9月に「日本オーラルヒストリー学会」での口頭発表、3月にロンドン大学で開催が予定されている日本研究Japan Forumのワークショップにおける口頭発表を予定している。また、29年度から開始した戦傷病者に関する図書の執筆も引き続き取り組む。昨年度、中止となった「しょうけい館」との証言映像の取材が再開されるように働きかける。最終年度であるが、時間の許す限り、これまでインタビューに協力いただいた戦傷病者の家族の方々に話を聞く機会を設け、できる限り口述記録を残したい。
|
Causes of Carryover |
(理由)予定していた人件費と謝金が必要なくなり、旅費に関しても「しょうけい館」との証言映像の取材が中止となったため予定していた予算額よりも少なくなったため。 (使用計画)口頭発表(日本・イギリス)を予定しているため必要な旅費のために予算の執行を予定している。
|
Research Products
(2 results)