2017 Fiscal Year Research-status Report
久米島の明治大正期の郷土史および民俗資料の整理と研究
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15K02869
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小川 順敬 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (00338302)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 沖縄研究 / 久米島 / 郷土誌 / 沖縄近代史 / 地籍図 / 紬 / 模合 / 君南風 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、1.久米島郷土資料の整理・写真撮影、2.資料の内容整理・分析、3.明治36年作成地籍図および関連地図資料の整理を行った。 1.資料整理は、a.仲村渠昌清資料の内容整理と整理番号の打ち直し。資料毎の概要と共に目録化を行った。全体の30%を終了。b.山里家資料は戦前、戦後の資料が中心とし、今回科研では戦前資料に関してのみ整理を行う。整理番号の打ち直し、目録化に着手した。但し、主となる資料は君南風の神社化関係資料である。c.山城家資料については教育関係資料の整理を残すのみ。ただし、相当程度保存状態の悪い近世期資料に付いては、内容の確認は不可能で、今回科研での報告は見送ることとした。 2.資料分析は、a.仲村渠昌清資料中の歴代地頭代一覧を久米島の家譜資料、系図資料等と突き合わせをに基づき内容整理を行っている。b.紬関係資料は関連の複数資料中の貢納布の番号毎にその製作方法についてのみ内容検討を開始した。c.模合関係資料については内容確認と分析を継続中である。d.久米島小学校日誌(明治初期~昭和)、『島尻郡誌』など関連資料との比較検討により久米島明治期の年表化、編年化を行っている。e..山里家資料中の君南風関係資料は沖縄神社ほか戦前期の神社化資料については、活字化を行い、最終年度報告書に掲載を予定。e.山城家資料の内、役場関係資料は翻刻を終了し、久米島博物館紀要に資料の1分冊(全体の8割)を報告した。残り資料(2分冊)の翻刻と解説はを本年度、報告の予定。 3.地籍図資料は昨年度偶然発見した資料で、全体で約250枚の地図を確認した。1点毎に中性紙袋に整理しつつ、内容目録を作成中で、現状で約110枚の明治期地籍図、残り140枚は明治期地籍図の青焼き、関連青焼き地図、その他作成年不明のトレース紙地図であった。これまでに110点の整理と内容確認が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体として、やや遅れを生じているが、つぎの2点で特に遅れを生じている。 1点目は、地籍図整理である。保管状態が悪いため、1枚ごとに中性紙袋に入れ、内容確認と目録化を行っているが、一部断簡化した地図資料を、他の地図との突き合わせを行い、表題不明の地図を特定化しているため、予想外に時間を要している。なお、本資料は写真撮影は保管状態、、またその大きさから全体撮影は不可能であるため、当面の内容確認に必要な部分のみの撮影である事をお断りしておきたい。こちらの資料整理に時間を要しているため、現地での他資料の整理番号等の打ち直しにも若干遅れが生じてきている。地籍図資料の整理に関しては、現地であと数日必要としているが、なるたけ9月までに終了したいと考えている。 また、明治から昭和期までの久米島小学校日誌については、分量が多いため、原本を閲覧し必要箇所の整理を行っているが、こちらも現地での時間的制約から遅れを見ている。 内容整理、および目録化については、ほぼ順調だが、現地での資料の資料整理に手間取っているため全体として遅れが認められる。 当初予定になかった、あらたな資料整理に着手することとなったため、全体的に見て若干の遅れが生じているが年度内に終了するよう現地調査期間を増やすなどして対処する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
写真撮影についてはほぼ終了しているので、追加、補足程度を残すのみとなった。これらの写真資料は、最終的に久米島博物館に保管依頼を行う予定。 関連資料の久米島小学校日誌、また明治期以降の教育関係資料については、時間の許す範囲での調査となる可能性がある。特に、沖縄教育などの教育関係史料は、所属大学図書館にはないため沖縄県立図書館で内容確認をしていたが、2018年いっぱい閉館されるためその対応を検討している。全てにわたって内容を確認できない可能性も生じている。 仲村渠昌清資料と久米島家譜資料との突き合わせ検討、紬関係資料の検討、模合関係資料の目録化、君南風神社化資料の活字化については、方向性も定まっているので、年度内に観光予定の報告書に十分掲載可能と考えている。なお、これらの内容検討については、研究協力者とともに、科研終了後も内容検討会行う予定。また、本資料以外の関係資料の収集も継続していく予定。 地籍図資料は目的を目録作成のみとするが、遅れはあるものの現地調査の時間を多めに取ることで対処できるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
平成29年度3月期(平成30年3月)の調査費として使用する予定であるが、大学会計年度の関係で、3月使用の研究費の清算が次年度30年度となるため、次年度使用額が生じた。
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