2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02874
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
劉 傑 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80288018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 汪兆銘 / 蒋介石 / 国民政府 / 親日派 / 支那通 / 外務省 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日、中、台及び米国に散在する汪兆銘関係の史料を調査整理し、「汪兆銘関係史料」の形成を目指すとともに、日中関係史の中の「汪兆銘像」を描くことを目的にしている。この作業は中国の「親日派」を通して、日本近代史における中国ファクターを究明することにつながる。具体的な目標として、①基礎的な環境整備として「汪兆銘関係史料」の形成を目指すこと、②「汪兆銘像」を描くこと、③いわゆる「親日派」を通して日本近代史のなかの中国ファクターを解明すること、の三点を目指している。 平成29年度においては、台湾国民党党史館、中央研究院近代史研究所とう案館などでの資料調査を進め、汪兆銘関係資料の把握をほぼ完了した。国民党党史館での史料蒐集は、史料館の利用可能な時間が短く、資料の収集は筆録に限るなどの困難がともなうため、資料蒐集のための時間を確保することが当面の課題である。一方、日本外交文書中の汪兆銘関連資料の整理は一応終了し、現在はその資料に対する分析と出版に向けての調整を進めている。 平成29年度中、国際シンポジウムに参加し、汪兆銘関係資料及び汪兆銘研究に関する研究発表を行い、海外の研究者との交流をを実施した。研究発表では、従来の汪兆銘研究をめぐる史料環境の問題点を指摘し、国際的な史料共同利用の必要性とその可能性を強調した。 また、国民政府内の「親日派」の対日方針が日本の内外政策にどのような影響を与えたのかを検討するとともに、日本の対中国外交を担当した外交官などの記録も精査し、昭和戦前期の日本外交における中国ファクターを究明することに力を入れた。以上の成果を踏まえて、汪兆銘伝記の完成に向けて具体的な作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の史料調査を除けば、おおむね予定した通り、研究を展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年に当たる平成30年は、関係研究者との共同研究会の開催や研究成果のまとめを中心に研究活動を行う。従来の汪兆銘及び「親日派」に対する研究を踏まえて、特に昭和戦前期の日本外交に多大な影響を与えた「親日派」グループの影響を解明する。研究期間終了時に研究成果をまとめ上げると同時に、出版助成の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
一部の海外での史料調査は、次年度に行う予定である。
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Research Products
(8 results)