2015 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の地域総合開発における技術者の役割―田辺朔郎関係文書の分析を中心に―
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15K02878
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
秋元 せき 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (20469208)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 田辺朔郎 / 近代土木 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「田辺朔郎関係文書」等の調査・分析を通して、近代日本における地域総合開発と都市基盤整備をめぐる技術者の役割を解明しようとするものである。ここで対象とする田辺朔郎関係文書とは、近代日本を代表する技術者であり、琵琶湖疏水を設計して実現させた人物として知られる田辺朔郎の関係文書である。田辺朔郎に関する研究は、これまで土木学系の研究者による研究が先行してきたが、実業家やジャーナリスト・官僚・政治家等との関係についてはほとんど研究対象とされてこなかった。本研究は、土木史・建築史・都市計画史などの成果をふまえつつ、歴史学的視点を重視しながら史料の分析に取り組み、関係文書を多面的な観点から調査・分析するものである。 平成27年度は、田辺朔郎の遺族宅に伝来し、京都市歴史資料館に寄託された「田辺朔郎関係文書」についての基礎的調査に着手し、新発見分の田辺朔郎関係文書(田辺家文書)の概要を把握する作業を行った。まず、①文書目録の作成に着手し、②この作業と併行して資料を撮影し、この資料群の全体像を把握する作業を進めた。 今年度は、資料の撮影については、手帳やノートへの細かい鉛筆書きなど、モノクロでは判別が困難な文書も多いため、新規の撮影分はデジタルカメラでの撮影を優先した。これ以外に、調査対象となるマイクロフィルム資料のデジタル化などを合わせて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、資料整理・撮影を優先して実施した。このため、当初予定していた対外調査の一部を次年度に繰り越すなど、一部予定を変更しているが、平成28年度に釧路市立博物館、東京大学工学部・工学系研究科図書室、社団法人土木学会附属土木図書館、国立国会図書館などの調査を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、文書整理および写真撮影を行う。さらに、新発見分の田辺朔郎関係文書の目録作成が全て完了した段階で、史料の翻刻に着手する。 また、今年度は他機関所蔵資料の調査も実施し、収集した関係資料の分析を進める。これらの調査・分析を通して、田辺朔郎の近代土木技術者・官僚としての役割のみならず、教育者・文化人としての役割、商工会議所など地方財界への影響力など多面的な役割の解明に取り組む。このほか、田辺太一など周辺人物について調査・研究を進め、新発見分の「田辺朔郎関係文書」の研究成果に反映させる。
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Causes of Carryover |
物品費のうちインクカートリッジなどの購入を見込んでいたが、本年度は購入の必要がなかったため、残金8,961円を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費のうちインクカートリッジなどの購入を見込んでいたが、本年度は購入の必要がなかったため、残金8,961円を次年度に繰り越すこととする。平成28年度については、概ね当初予定の通りである。
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