2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本の社会文化史と台湾-戦後台湾社会の文化継承、変遷の記録化
Project/Area Number |
15K02879
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大谷 渡 関西大学, 文学部, 教授 (80340644)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋寺 知子 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (70257905)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 北欧自由キリスト教宣教団 / 戦後台湾 / ノルウェー |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次世界大戦後、台湾を経て日本に入った「北欧自由キリスト教宣教団」の女性宣教師と台湾人及び日本人との交流について、前年度までの研究成果公表のためのシンポジウムを5月4日に瀬戸市文化センターにおいて開催した。ここで研究代表者大谷は、「キーステン・ハーゲンの情熱(Kisten hagen's Devotion)」と題して基調講演を行った。研究分担者橋寺は、「ノルウェーの祈りの空間」と題して研究報告を行った。パネルディスカッションには、ハーゲン宣教師を慕って台湾から日本に留学した姉妹の1人と、瀬戸で導かれた信徒の方たちに加わってもらった。このシンポジウムについて、『朝日新聞』5月2日付朝刊と『読売新聞』5月4日付朝刊が報じ、会場は満席となった。シンポジウム当日の様子は、翌日の「YOMIURI ONLINE」で報じられた。 シンポジウムに合わせて『日本近現代史研究』第5号(特集 MISS.ハーゲンと瀬戸)を発行し、当日来場者に配布した。シンポジウムの反響は大きく、その後も『日本近現代史研究』特集号を求める問い合わせがある。 5月のシンポジウムのあと、6月にはノルウェーとスウェーデンにおいて、「北欧自由キリスト教宣教団」の宣教師に関する聞き取り調査と文字資料の収集及び実地調査を行った。7月から本年3月までの間に、北海道・愛知県・福井県・石川県など国内での調査を重点的に実施し関連資料の収集を行い、相当量の口述資料と文字資料、その他写真資料などを収集した。 11月には、台湾における研究協力者が来日したので、2日間にわたって聞き取り調査を行った。12月には今年度の研究成果を論文としてまとめ、本年3月発行の『関西大学文学論集』に掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究着手にあたり、それまでの準備が十分であったことから、初年度に『台湾の戦後日本 敗戦を越えて生きた人びと』(東方出版)を出版することができ、台湾から研究協力者を招いて同書の出版記念シンポジウムを開催することができた。そして、同書「第七章 二つの苦難を越えて」と「第八章 キーステン・ハーゲンとともに」に叙述した研究成果から、戦後の台湾と日本の関係史が台湾・日本・北欧の文化交流史に発展した。北欧自由キリスト教宣教団の宣教師と台湾人・日本人の交流から戦後日本の社会史の新たな側面が浮かびあがり、シンポジウム「miss.ハーゲンと瀬戸-日本と北欧 心の交流65年」の開催とその後の研究調査の進展により、当初の予定を超える大きな成果が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
戦後、台湾を経て日本に入った「北欧自由キリスト教宣教団」と日本人との交流の全体像を史実の発掘によって明らかにする。6月におけるノルウェー・デンマーク・フィンランドにおける実地調査によって、これまで知られていなかった台湾から日本へと移動した宣教師たちについて、彼らの本国における資料収集を実施する。日本における彼らの活動について、前年度に引き続き資料収集を行うとともに、国内外において収集した資料を十二分に分析検討し、研究成果を出版する準備を行い、執筆を開始する。研究成果発表のためのシンポジウムの開催準備を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究の前提となった研究課題「戦後日本の社会生活史と台湾-統治下に育った台湾人の日本認識とその変遷の記録化」の研究を1年延長していたことにより、その基金が2015年度に使用することができた。具体的には、「『台湾の戦後日本』出版記念国際シンポジウム開催のための費用に充てることができた。これにより、新たに採択された本研究課題の初年度助成金を有効に使用することができ、これを本研究推進過程に浮かび上がった新たな重要課題に取り組むための費用として2016年度に繰り越していて、そのうちの約3分の2は、継続的に取り組むことになった新たな重要課題の研究調査充実のための費用として、次年度に使用することになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
戦後、台湾を経て日本に入った「北欧自由キリス教宣教団」の日本宣教に従事した宣教師たちと日本人・台湾人との交流に関する研究調査、すなわち日本国内とノルウェー・デンマーク・フィンランドにおける聞き取り調査実施のための費用、及びその成果を公表するためのシンポジウム開催の費用に充てる。
|
Research Products
(5 results)