2017 Fiscal Year Research-status Report
近代日本におけるリンカーン受容の研究―新聞雑誌・公文書・伝記・教科書などを素材に
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15K02880
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
陶 徳民 関西大学, 文学部, 教授 (40288791)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンカーン / ジョセフ彦 / 松村介石 / 新渡戸稲造 / リンカーン伝記 / リンカーン像 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年3月に刊行した『吉田松陰と佐久間象山-開国初期の海外事情探索者たち(I)』 (関西大学東西学術研究所資料叢刊39)につづき、明治維新150周年にあたる2018年年3月に、『平山省斎と岩瀬忠震―開国初期の海外事情探索者たち(II)―』(関西大学東西学術研究所資料叢刊39-1)を刊行し、その扉絵(カラー図版集)に、海外事情と時代背景の一部としてリンカーンとジョセフ彦の関連画像10数枚を掲載した。その中に、リンカーン大統領執務室に置かれていた議会文書『ペリー艦隊日本遠征記』と『鉄道建設ルート踏査記』、および暗殺されたリンカーンの霊柩を首都ワシントンからスプリングフィールド市に運ぶ蒸気機関車などに関する貴重な写真(2015年9月前半にイリノイ州プリングフィールド市にあるアブラハム・リンカーン大統領図書館・博物館(ALPLM)およびリンカーン関連記念施設などに対する訪問調査時に入手したもの)が含まれている。そして、近代日本におけるリンカーン受容の諸相を解明するために、国立国会図書館などのデータベースを通じて関連資料の収集を継続的に行っている。 ほかに、『内藤文庫蔵鈔本章氏遺書』全4巻(台湾大学人文社会高等研究院儒学資料叢書)、論文2編(ミネルヴァ書房出版の見城悌治編『帰一協会の挑戦と渋沢栄一ーグローバル時代の「普遍」をめざしてー』』と汲古書院出版の小島毅編『中世日本の王権と禅・宋学』にそれぞれ収録)、書評1編と新聞記事1編を刊行し、学会発表と招待講演を19回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①これまで入手した資料を十分理解したうえで、既刊の著書や論文の中に活用した形で発信している。 ②本研究を完遂するために、具体的な資料蒐集と論文作成の計画を立てており、着実に前進している。 ③米国のリンカーン大統領図書館の館長と同館附置のデジタル研究センターの主任、および日中のリンカーン研究者と良好な研究協力関係を構築している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を完遂するために、次の計画で進めていく予定である。 ①日本におけるリンカーン受容の先達であるジョセフ彦に関する研究を深める。 ②日本人としてリンカーン伝記を最初に作成した松村介石に関する研究を深める。 ③リンカーン生誕百年にあたる1909年から国内のリンカーン研究を一貫してリードし、支援した新渡戸稲造の研究を深める。 ④国定教科書や新聞雑誌におけるリンカーン記述に関する研究を深める。 以上の4つの方面から、近代日本におけるリンカーン受容の全体像と特質を解明する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、平成30年度に国内外で関連資料収集利用を行うための旅費、複写費と掲載料、および研究に必要な書籍と物品の購入のために残したからである。 (1)国内調査旅費:明星大学東京リンカーン・センター、早稲田大学図書館、国立国会図書館、東京大学明治新聞雑誌文庫、東京教科書研究センター(東京)(2)国際調査旅費:米国リンカーン大統領図書館およびイエール大学・ハーバード大学図書館(3)資料検索と整理入力のための人件費(アルバイト・謝金)(4)研究に使用する研究書と物品の購入
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Research Products
(23 results)