2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02884
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Research Institution | 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術 |
Principal Investigator |
八木 滋 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪歴史博物館, 主任学芸員 (70311446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本史 / 都市史 / 大坂 / 道頓堀 / 那波屋 |
Outline of Annual Research Achievements |
17世紀の道頓堀関係史料である遠藤亮平・安井洋一氏所蔵安井家文書について、史料集刊行に向けて30点の翻刻をおこなった。 大阪歴史博物館所蔵安井家文書や上記の遠藤・安井氏所蔵安井家文書を利用して、17世紀後半の西道頓堀南側の開発過程を、当該地が幕府材木置場に設定されたことによる制約と土地開発者の安井九兵衛・平野次郎兵衛が町家として開発を志向する動向および両者の関係を関連させて、空間構造も考慮しながら、明らかにした。現在、当該内容の論文を執筆中である。 明暦2年(1656)の大阪市立中央図書館所蔵「長堀惣水帳」(土地台帳)を分析し、同段階での長堀川沿い各町の土地所持状況を詳細に分析し、各町に即してその特徴を明らかにした。その中で特に注目されるのは、道頓堀の開発者である平野次郎兵衛と京都の豪商那波屋九郎左衛門(素順)が、彼らで屋敷の所持をほぼ独占している新平野町の南側にあたる清兵衛町(長堀川沿い)にも大きな間口の屋敷を所持していることである。那波屋については、京都の洛東遺芳館に所蔵されている那波家文書の中の大坂関係の史料の調査を行い、関連資料を収集しているところである。他都市居住の家持町人について、その属性や家屋敷の所持形態(出店か借家か、家守の有無など)や町との関係などについて検討をおこなっているところである。 また、16世紀終わりから17世紀にかけて大阪の都市開発に関連した文献を収集し、開発の段階性と地域性に留意しがら、研究史整理を行っている。その他、近世大坂に関する都市史料についても積極的に収集をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、今年度から次年度(28年度)にかけて遠藤亮平・安井洋一氏所蔵安井家文書の翻刻(データ入力)を、同文書の整理や展示し従事したことがあり、同文書の内容にも精通している者(現在無職)に依頼する予定であった。しかし、同人が妊娠し体調が不安定であったため、ひとまず作業開始を遅らせることにした。その後、同人の体調が安定し作業可能の状況になったので、平成28年1月から翻刻を依頼し、一定の成果を得た。 その他の調査・研究については、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
遠藤亮平・安井洋一氏所蔵安井家文書の翻刻作業について、当初計画から半年ほど遅れていたが、翻刻者の条件が整い、平成28年1月より作業を開始することができた。現在のところは順調に進捗している。作業の遅れを取り戻すべく、3か月に1度程度進捗状況を確認して、その都度計画を見直し、研究期間内に作業が終了できるようにしたい。具体的には、進捗状況によっては、作業の遅れを取り戻すために翻刻者を増やすことを検討している。 その他の調査・研究についても3カ月ごとに成果を確認し、それにも基づいて次の3ヶ月間の計画を立て、合わせて全体の研究計画も見直していく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、今年度から次年度(28年度)にかけて遠藤亮平・安井洋一氏所蔵安井家文書の翻刻(データ入力)を、同文書の整理や展示し従事したことがあり、同文書の内容にも精通している者(現在無職)に依頼する予定であった。しかし、同人が妊娠し体調が不安定であったため、作業開始を平成28年1月まで延ばした。それにより、同人への支払いを見込んでいた謝金が減額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遠藤亮平・安井洋一氏所蔵安井家文書の翻刻(データ入力)を依頼した者の体調も安定したため、平成28年1月から作業を開始した。当初今年度に予定していた分も含めて次年度中に作業が終了するように、翻刻者の増加も含めて対応する。また、翻刻したデータは次年度(平成28年度)に史料集として刊行する予定であったが、進捗状況によっては平成29年度に刊行時期を変更することも検討する。
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