2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02886
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉開 将人 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80272491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国 / 歴史 / 民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
1940~1950年代を中心に、中国共産党政権下の民族史像の形成と変容過程を、当局による民族政策、官学アカデミズムに属する漢族知識人の思想と学術、非漢族エリートによる民族ナショナリズム、現地社会の実態、という複数のレベルから検討するのが、三年間にわたる本研全体の目的である。 第一年目である本年度は、「中華人民共和国における多民族史像の形成」と「近年の苗族エリートによる民族ナショナリズム」について研究の重点とした。 本年度は、日本国内には所蔵が乏しい1940~1950年代を中心とする関連文献の放出が中国国内の古書市場において偶然現れ、それらの収集、日本への将来・整理に最大の労力・時間と経費を費やした。その結果、現状において求めうる資料のほとんどが手元にそろうことになった。これらの貴重な資料の分析と、成果の執筆・発表のための作業は、まだ緒についたばかりで第二年目以後の継続課題である。 本年度の成果としては、「中華人民共和国における多民族史像の形成」に関連し、それと表裏一体の関係にある中華人民共和国の辺境領土帰属意識について、中国語論文の「『中国歴史地図集』的編絵思想─譚其驤与“歴史上的中国”論」を執筆、中国地理学会歴史地理専業委員会に投稿、現在、中国の学術誌『歴史地理』(上海人民出版社)への掲載審査中である。また、「近年の苗族エリートによる民族ナショナリズム」に関連し、「“タク鹿之戦”は誰の歴史か?─中華民族主義と非漢族史」を日本の国内学会である北大東洋史談話会で報告予定である(2016年5月、札幌)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な文献の収集、日本への将来・整理に最大の労力・時間と経費を費やし、それらの分析と、成果の執筆・発表のための作業の多くは、第二年目以後に持ち越しとなった。 9月に北京出張を計画していたが、他のプロジェクトの中国出張依頼と重なり、第二年目に持ち越しとなった。 中華人民共和国の多民族史観を歴史的位置付けるためには、その前提となる中華民国の多民族史観を理解することが必要であるが、2月に予定していた台湾出張は、予定通り行うことができ、所期の成果をおさめた。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年目は、文献収集よりも、すでに収集し終えた文献の分析と、成果の執筆・発表のための作業に重点を置く。また第一年目に実施し得なかった北京での資料調査とあわせ、雲南・貴州方面に出向き、非漢族現地社会での資料調査・聞き取り調査を実施する予定である。 また、本研究課題で当初より予定していた旧ソ連の関連動向の分析、関連研究の消化と吸収を行い、ソ連共産党からの影響と反発の下に成り立った1940~1950年代中国共産党政権下の民族史像の形成と変容過程へと、研究を展開したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究に必要な文献の収集、日本への将来・整理に最大の労力・時間と経費を費やし、それらの分析と、成果の執筆・発表のための作業の多くは、第二年目以後に持ち越しとなった。9月に北京出張を計画していたが、他のプロジェクトの中国出張依頼と重なり、第二年目に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第二年目は、文献収集よりも、すでに収集し終えた文献の分析と、成果の執筆・発表のための作業に重点を置く。また第一年目に実施し得なかった北京での資料調査とあわせ、雲南・貴州方面に出向き、非漢族現地社会での資料調査・聞き取り調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)