2018 Fiscal Year Annual Research Report
Local clans in Early Modern Vietnam: Rules and Foreign Trade in Nghe An province
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15K02889
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ベトナム史 / 近世 / 古文書 / 年代記 / 日越関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は日越外交に関する論文2本を発表し、外交および文書に関する学会報告4本を行った(うち、英語報告2本)。さらに、中近世日本―東南アジア関係史にとって重要な、朱印船・南洋日本町関係地図に関する雑誌特集を企画し、企画の意義について説明する巻頭言を担当した。このうち、「近世日越通交の黎明」(『東南アジア研究』56(2)、米谷均と共著)が最も重要で、2013年に発見された「安南国副都堂福義侯阮書簡」を初めとした外交文書に文書学的検討を加えた。書簡を和訳して書簡の差出人や宛先に新説を提出したほか、敬意表現や称号など文書様式論的考察を行った点でも新しい。「福義侯阮書簡」発出者の推定にあたっては、ゲアン省での現地調査による家譜収集によって可能になった。 延長を含めた4年間全体では、論文5本、学会発表9本(うち、英語報告6本)、解説・書評など2本を公表することができた。近世ベトナム政治史、近世日越関係史、ベトナム史料学の3分野において新事実の提示のみならず、歴史像の刷新にも大きく貢献することができた。特に、「ベトナム後期黎朝の成立」(『東洋学報』99(2)、2017年)においては、文書館調査で得られた年代記史料と地方で収拾した家譜や文書史料の双方に厳密な史料批判を加え、それらの情報を組み合わせて新しい16世紀ベトナム史像を提出した。 現地調査での収集史料のうちいくつかの重要な碑刻文が未発表のままになっているため、今後公表の機会を得たいと考えている。
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